■アーティスト:Marvin, Welch & Farrar (マーヴィン、ウェルシュ&ファーラー)
■アルバム名:Marvin, Welch & Farrar

管理人の評価:★★★★

 

■ディスコグラフィー
Marvin, Welch & Farrar (1971)
その他コンピレーション盤

 

 

 
基本データ
 

■リリース: 1971年2月
■媒体: LP (EMI REGAL ZONOPHONE /SRZA 8502)
■外装: 見開きジャケット、エンボス加工、薄紫色の厚紙に印刷された歌詞カード付き
■プロデュース: マーヴィン、ウェルシュ&ファーラー(セルフ・プロデュース)
■録音場所: アビー・ロード・スタジオ
■チャート: 全英30位

 
曲目
 

Side 1
1. You're Burning Bridges (Marvin) リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン
2. A Thousand Conversations (Marvin-Welch)  リード・ヴォーカル:ブルース・ウェルシュ
3. Brownie Kentucky (Marvin)  リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン
4. My Home Town (Marvin-Welch-Farrar)  リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン、ブルース・ウェルシュ、ジョン・ファーラー
5. Silvery Rain (Marvin)  リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン
6. Throw Down A Line (Marvin)  リード・ヴォーカル:ジョン・ファーラー
Side 2
1. Baby I'm Calling You (Marvin-Welch)  リード・ヴォーカル:ジョン・ファーラー
2. Faithful (Marvin-Welch-Farrar)  リード・ヴォーカル:ブルース・ウェルシュ
3. Mistress Fate And Father Time (Marvin-Ferris)  リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン、ブルース・ウェルシュ
4. Take Her Away (Marvin-Welch) リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン
5.Wish You Were Here (Marvin-Welch)  リード・ヴォーカル:ハンク・マーヴィン
6. Mr. Sun (Marvin-Welch)  リード・ヴォーカル:ジョン・ファーラー

 
メンバー
 

ハンク・マーヴィン - ギター、ヴォーカル
ブルース・ウェルシュ - ギター、ヴォーカル
ジョン・ファーラー - ギター、ヴォーカル

String arrangements by John Farrar and
conducted by Graeme Hall.
Drums - Clem Cattini.
Bass Guitar - Dave Richmond
Occasional organ and piano - Alan Hawkshaw and Peter Vince
Tape operator - Richard Lush
Engineer - Peter Vince
(who did all the work)
Produced by Marvin, Welch & Farrar
All songs published by The Shadows Music Limited
Cover design and photos by Hipgnosis

 
アルバム内容
 

マーヴィン、ウェルシュ&ファーラーの記念すべきデビュー・アルバム。早朝、もしくは夕方の海岸の岩場に靄がかかっている印象的なジャケットで、ヒプノシスが担当している。
マーヴィンとウェルシュの共作が5曲、マーヴィン単独の作曲が4曲、ファーラーを加えた3人の共作が2曲、ポール・フェリスとハンク・マーヴィンの共作が1曲となっており、やはりハンク・マーヴィンの力が一番強いことが伺える。ポール・フェリスはイギリス人の作曲家で、1966年のクリフ・リチャードの全英7位のヒット曲 Visions やシャドウズの1967年の Maroc 7 の作者として知られる。また1970年にリリースされたクリフ・リチャードの The Joy Of Living ではハンク・マーヴィンと共作している。
リード・ヴォーカルはハンク・マーヴィンが5曲、ブルース・ウェルシュが2曲、ジョン・ファーラーが3曲、共同が2曲となっており、ここでもハンク・マーヴィンが中心となっている。

1曲目の "You're Burning Bridges" は彼らにしてはややヘヴィーなロック・ナンバー。2曲目の "A Thousand Conversations" は一転して静かなバラードでブルースが繊細なヴォーカルを聴かせる。この美しいバラードはクリフ・リチャードの目に留まり、71年10月にカバーバージョンがシングル B 面としてリリースされている。その5年後の76年11月にはオリビア・ニュートン・ジョンの "Don't Stop Believin'" にも収録された。3曲目はビートルズ風のイントロで始まるポップなナンバー。アコースティック・ギターの音色が美しい。4曲目の "My Home Town" は3人の共作でヴォーカルも3人で分担している。後年の再結成コンサートでも取り上げていたことからブルースとハンクはこの曲に思い入れがあるようだ。ちょっとカントリーっぽい曲である。5曲目の "Silvery Rain" は MWF のアルバムリリースの直後の3月にクリフ・リチャードがシングルカットし、全英27位まで上がった。それから10年半後の81年10月にはオリビア・ニュートン・ジョンの大ヒットアルバム "Physical" にも収録されジョン・ファーラーの大胆なアレンジが印象的だった。MWF のオリジナルは金属弦のアコースティック・ギターで始まるフォーク・ロック風でクリフの重厚なバージョンと違い簡素でストレートなアレンジとなっている。6曲目の "Throw Down A Line" はハンク・マーヴィンがかつてクリフ・リチャードに提供した曲で69年9月にシングルカットされ全英5位の大ヒットとなった曲であり(正式にはクリフ&ハンク名義)、オリジナルの作者自身がカバーしたことになる。クリフのオリジナルはドラムスのビートを強調した(クリフにしては)ヘヴィーなナンバーだが、MWF のバージョンはさらにその路線を強調したアレンジになっており、ジョン・ファーラーの強烈なヴォーカルが印象的である。

Side 2 の1曲目は "Baby I'm Calling You" で Side 1 の1曲目と同様ややヘヴィーなナンバーである。2曲目も Side 1 と同じパターンで静かなバラードの "Faithful" をブルースのヴォーカルが歌い上げる。3人の共作だがこのアルバムを代表するような美しいヴォーカル・ハーモニーを聴かせる。3曲目の "Mistress Fate And Father Time" は唯一グループ外の人物が曲作りに携わったナンバー。途中ビートルズ風のフレーズがちょっとわざとらしい感じもするが、悪い曲ではない。4曲目の "Take Her Away" は非常にポップな小曲。印象的な曲で思わず口ずさんでしまいたくなる。5曲目の "Wish You Were Here" は "Faithful" と同様このアルバムを代表する傑作だ。CS&N と言うよりはサイモン&ガーファンクルを思い起こさせるしっとりとしたフォーク・ナンバーである。最後は "Mr. Sun" というポップなナンバーで幕を閉める。

全体としては人気・実力における第一人者のハンク・マーヴィンが取り仕切ったアルバムと言えるだろう。シャドウズ時代にたまにやっていたヴォーカル曲の延長線上から出発し、新たな世界を構築する所まで到達している。ジョン・ファーラーが英国に到着した頃には大半の曲が既に出来上がっていたこともありジョンの貢献は限定的なものになっているが、それでもこの新グループに第三の息吹を吹き込んでいることに間違いはないだろう。
なお、リズム隊は正式メンバーには含まれていないのでセッション・ミュージシャンを起用している。ドラムスは元トーネイドーズで ZEP のドラマー候補にも名が挙がったクレム・カッティーニ、ベースはオリビアのファースト・アルバムにも参加したデイヴ・リッチモンド、キーボードをアラン・ホークショーが務めている。また何故かエンジニアのピーター・ヴィンスもキーボードにクレジットされている。クレム、デイヴ、アランの3人は当時のイギリスを代表するセッション・ミュージシャンである。特にアランは直前に企画されたシャドウズの極東ツアーに参加し、70年10月にリリースされたシャドウズの8枚目のアルバム Shades of Rock に正式メンバーとして加わっている。オリビアの初期のアルバムにも参加したりクリフのツアーに同行したりとこの時期のクリフ、シャドウズ、オリビア人脈に深く関わった重要人物であると言えよう。なおストリングスの指揮者としてクレジットされている Graeme Hall はオリビアの75年のアルバム Have You Never Been Mellow に収録されていた "And In The Morning" の作者でもある。

 
アルバム・リリース
 

1971年2月 LP: Marvin, Welch & Farrar (REGAL ZONOPHONE (EMI) / SRZA 8502)
1991年7月 CD: Marvin, Welch & Farrar Plus (See For Miles Records/ SEE CD 324)
2006年6月 CD: Marvin, Welch & Farrar / Second Opinion (Beat Goes On Records/BGOCD 714)

 
シングル・リリース
 
1971年1月 Faithful / Mr. Sun (Regal Zonophone RZ 3030)
 

 

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