Olivia Newton-John's Greatest Hits 2022年US盤

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■LP

 

   
Side1 Side2
Side3 Side4
Olivia Newton-John's Greatest Hits (2022 US Primary Wave / ONJ9031/792755903131
 
US Original Side1
Olivia Newton-John's Greatest Hits (1977 US Original MCA / MCA-3028)
 

上段が2022年10月に発売された45周年盤で下段が1977年のUSオリジナル盤です。オリジナル盤からの変化点は何と言っても収録曲が増えたこと。8曲も増えて2枚組になりました。本当は77年当時も2枚組にしたかったのかも知れませんが、あの時は爆発的なヒットから遠ざかっていた苦しい時期だったので、固い慎重な選曲にせざるをえなかったのだろうと思います。今回の2022年バージョンは前回の5つあったバージョンを1つにまとめ、決定版と言えるデラックス・バージョンを作ることにした、とオリビアは語っています。しかし追加された曲を見るとほぼオーストラリア盤からじゃん、という結果です。逆に言うと、いかにオーストラリアのファンがオリビアの本心と共にあったか、ということだと思います。まさに It's always Australia for me. ということですね。

追加された8曲 前回含まれていた盤 コメント
Banks of The Ohio UK盤、ドイツ盤 ドイツで13位、オーストラリア1位、イギリス6位のヒット曲でありドイツ語バージョンも吹き込まれた納得の追加
Love Song オーストラリア盤 オリビア自身もかつて好んで歌っていた曲で、個人的には嬉しい追加
Take Me Home Country Roads UK盤、ドイツ盤、日本盤 イギリスと日本でヒットした曲で納得の追加
The Air That I Breathe オーストラリア盤 オリビア自身もかつて好んで歌っていた曲で、個人的には驚きの追加 やはり基本に返りますよね
Every Face Tells A Story オーストラリア盤 なぜオーストラリア盤はこれを含んでいたのでしょう?個人的には驚きの追加ですが、好きな曲です
Jolene オーストラリア盤、日本盤 オーストラリアで小ヒット、日本で大ヒットした曲で納得の追加
Don't Cry For Me Argentina オーストラリア盤 オーケストラをバックに歌唱力を見せつけた曲で想定外の追加(オーストラリアでは小ヒット)
Making A Good Thing Better オーストラリア盤 アメリカでシングルカットしてコケた曲ですがオーストラリアは見捨てなかった オリビア念願の追加?でも日本でも人気曲!

オリジナルの日本版は飽きる程聴いたため、個人的にはあまり思い入れがありません。収録曲も Changes を除いてアメリカでヒットした曲ばかりなので私個人の好みとは少し離れています。しかし今回は8曲も追加されているので通して聴くとさすがに新鮮です。オリビアが人生の最期にした選択というのはさすがに重いですね。そこを考えると頷ける結果になっています。考え出すとキリがありませんが、やはり深い熟慮の結果だと思いますし、本当のファンなら納得する選曲だろうと思います。オリビアは商業的に大成功を収めた歌手なのであまり本音を語りませんでしたが、このGreatest Hits 45周年盤でほんの少し本音を出してくれたかな?とても謙虚な人だったので日本でも愛されたのだろうと思います。もちろん容姿端麗だったことが一番大きい要素でしょうけど。

2022年盤の音質自体は非常によいです。前回のIf Not For You2022年盤に入っていたザッという耳障りなノイズはなくなりましたが、パチパチノイズがやや目立ちます。今回も新品のレコードに超音波洗浄とバキュームクリーニングを施しています。中古の輸入盤で言うとEx+ぐらいの盤質といった印象です。プレスはチェコ共和国で行われたようです。Dynamic Range Meter の値はSide1がDR11、Side2がDR12、Side3がDR11、Side4がDR11でしたので前回のIf Not For Youと変わりません。しかしカッティング・レベルが低いです。デジタル化する方はかなり録音レベルを上げる必要があるでしょう。今回は2枚組にして曲の詰め込みにも余裕があると思うのですが、なぜでしょう?せっかくの重量盤でもあるのに…

US盤ではお馴染みのシュリンクに貼られた宣伝用ステッカーも付けておきます。

2022年ステッカー 「40周年2枚組デラックスエディション 180g重量盤 オリジナルマスターテープからリマスター」

今回の2022年盤もオリジナルの1977年盤と同様ゲートフォールドになっており、、内側のオリビアの写真はなぜか反転されています

日本盤CRYSTAL LADY
左が2022年盤 右が1977年盤(日本盤で代用)オリジナルは右手の肘が写っているが、2022年盤は左手の肘になっている

1977年オリジナル盤の見開きには上記写真の他に収録曲名、曲の時間、作者、出版社、ASCAP or BMI、プロデューサー、編曲者、その録音の権利者のクレジットがありましたが、2022年盤は収録曲名、曲の時間、プロデューサー、編曲者、収録アルバム名、その録音の権利者のクレジットとなっており、少し簡素化されています。注目すべきは録音の権利者が全て Primary Wave Music になっており、オリビア側と何らかの契約があったようです。LP時代は編集盤というのは音質的に不利でしたが、デジタル時代の現在はそのようなことがなくなりました。
アナログのUS盤は昔から曲の時間表記がありますが、今回も上述の見開き部分とディスクのレーベルに表記があります。

曲名 時間 コメント
If Not For You 2:50 オリジナル盤と同じ
Banks of The Ohio 3:15 オリジナル盤と同じ
Love Song 3:44 オリジナル盤と同じ
Take Me Home Country Roads 3:17 オリジナル盤は3:16なので1秒長くなっている
Changes 2:26 オリジナル盤は2:27なので1秒短くなっている
Let Me Be There 2:55 オリジナル盤は3:00なので5秒短くなっている
If You Love Me (Let Me Know) 3:09 オリジナル盤は3:12なので3秒短くなっている
I Honestly Love You 3:34 オリジナル盤は3:36なので2秒短くなっている、2022年盤はレーベル印刷が3:27で誤記
Have You Never Been Mellow 3:27 オリジナル盤は3:28なので1秒短くなっている
Please Mr Please 3:20 オリジナル盤は3:24なので4秒短くなっている
The Air That I Breathe 3:49 オリジナル盤と同じ
Something Better To Do 3:12 オリジナル盤は3:16なので4秒短くなっている
Let It Shine 2:24 オリジナル盤は2:26なので2秒短くなっている
Every Face Tells A Story 3:43 オリジナル盤と同じ
Jolene 3:01 オリジナル盤は3:07なので6秒短くなっている
Come On Over 3:37 オリジナル盤は3:38なので1秒短くなっている
Don't Stop Believin' 3:35 オリジナル盤は3:37なので2秒短くなっている
Sam 3:39 オリジナル盤は3:44なので5秒短くなっている、2022年盤はレーベル印刷が3:44で誤記(※オリジナルではなくBack To Basicsと同じ別ミックスが使われている)
Don't Cry For Me Argentina 6:02 オリジナル盤と同じ
Making A Good Thing Better 3:44 オリジナル盤と同じ、2022年盤はレーベル印刷が3:34で誤記

Sam の別ミックスについてはオリジナルの Greatest Hits のページでもほんの少し触れましたが、2:31近辺のところでオリジナルはユー・ニード・ア・ショウルダーと歌うところ、別ミックスではユ・ニード・ア・ショウルダーと You を長く伸ばしていない点、あとサビの部分で別ミックスはバックコーラスが目立つ点、これら2点が主な相違です。私がこの違いに気付いたのは Back To Basics の Sam を聴いてからですので、恐らく Back To Basics が初出だと思います。別ミックスの方が曲の魅力をより引き出しているように思います。

今回のアナログ盤を振り返って曲の配置が1つだけおかしいです。上の表は収録順になっていますので見ていただければ分かるかと思いますが、Every Face Tells A Story が Come On Over と同時期にされています。もちろんこの曲は Don't Stop Believin' に入っている曲ですので、上の表では Come On Over より後に配置しなければおかしいです。単純ミスなのか何か意図があるのか…

■CD

 
2022年US CD Front 2022年 US CD Back
2022年 Olivia Newton-John's Greatest Hits Japan Deluxe Edition 2CD Universal / UICB-1016/7
CDに封入されたポスターでは詩小説の写真反転がシレっと元に戻されています 
 

■詩小説45周年記念盤&Olivia's Greatest Hits Vol. 2 40周年記念盤
編集アルバムに対して○○周年記念というものを設ける感覚が私にはよく分かりませんが、77年と82年の2つのアルバムは特別扱いです。世界中で販売され、それなりのセールスを記録したからでしょう。イギリスの First Impressions と日本の CRYSTAL LADY も特別扱いして欲しかったと思いますが、1st アルバムのボーナスディスクがそれに相当するのかな?でもあれには2nd アルバムと3rd アルバムが抜け落ちているんですよね。今後のリリースに期待です。
海外ではそれぞれ別にリリースされるようですが、日本では JAPAN DELUXE EDITION として2つを1つにまとめて2枚組CDとして発売されました。曲目は以下のとおりです。

トラック
Disc1 曲名
トラック
Disc2 曲名
1 If Not For You 1 Heatattack
2 Banks of The Ohio 2 Magic
3 Love Song 3 Physical
4 Take Me Home Country Roads 4 Hopelessly Devoted To You
5 Changes 5 Make A Move On Me
6 Let Me Be There 6 Deeper Than The Night
7 If You Love Me (Let Me Know) 7 Landslide
8 I Hmestly Love You 8 A Little More Love
9 Have You Never Been Mellow 9 You're The One That I Want
10 Please Mr. Please 10 Tied Up
11 The Air That I Breathe 11 Suddenly
12 Something Better To Do 12 Totally Hot
13 Let It Shine 13 The Promise (The Dolphin Song)
14 Every Face Tells A Story 14 Xanadu
15 Jolene 15  
16 Come On Over 16  
17 Don't Stop Believin' 17  
18 Sam 18  
19 Don't Cry For Me Argentina 19  
20 Making A Good Thing Better 20  

1枚目はアナログ盤と同じですので問題は2枚目です。ん?1枚目より6曲も少ないぞ。あれ?この曲目は…そうです。82年の Olivia's Greatest Hits Vol. 2 と全く同じじゃないですか!普通に考えると Disc1 と同じ20曲入れて欲しかったと思います。候補?Summer Nights(大ヒット曲)、Dancin' 'Round and 'Round(小ヒット&個人的に好き)、Borrowed Time(オリビアの作曲)、Rest Your Love On Me(ユニセフ)、I Can't Help It(小ヒット)、Recovery(個人的に好き)、Take A Chance(いい曲)、The Rumour(小ヒット)、The Best of My Love(CDで持ってないぞ)等々たくさんあります。Disc2 もDisc1 のように捻りが欲しかったところです。スタジオ・アウトテイクとかないんですかね?

次に音圧を見ていきましょう。

タイトル Dynamic Range Meter の値(値が大きいほどダイナミックレンジが広い)
詩小説日本盤CD (CP35-3115) Disc1:DR11
Greatest Hits Vol. 2 日本盤CD (CP35-3046) Disc1:DR14
2022年盤CD Disc1:DR9 Disc2:DR8
2010年日本盤40/40 The Best Selection Disc1:DR7 Disc2:DR7
Olivia Newton John's Greatest Hits 1977 US LP Side1:DR12 Side2:DR12
Olivia Newton John's Greatest Hits 1977JP LP Side1:DR12 Side2:DR15
2022年盤LP Side1:DR11 Side2:DR12 Side3:DR11 Side4:DR11
Olivia's Greatest Hits Vol.2 1982 US LP Side1:DR15 Side2:DR14
Olivia's Greatest Hits Vol.2 1982 JP LP Side1:DR14 Side2:DR14

音圧はそれなりに上がっています。ただ以前に酷評した40/40 The Best Selectionほどではありません。数値上は決して褒められた値ではないです。前回の If Not For You US CD でもそうだったのですが、聴感上それ程うるさく感じられませんでした。ネット上では Let Me Be There の音圧が低すぎる、という意見をよく見かけましたが、私は全く気付きませんでした。聴きこみが足りないのかな?言われてみると確かにちょっと小さいかな、とも思います。いずれにしても個人的には十分許容範囲です。(もちろん受け入れられない方もおられるだろうと思います。)今回は何と全てオリジナルマスターテープから起こしているそうなので、40年以上経った磁気テープってどうなの?という気もしますが、優秀な編集盤CDだと思います。(あくまで私個人の意見です。)今の時代だとこれ以上音圧を下げたらダメな気もしますし。
参考までにLPの値も載せておきましたが、LPはやはり(過去の価値観において)優秀です。→特に昔のLP 実はLPよりもCDの方がはるかにダイナミックレンジを広く取れるのですが、これはマスタリングに起因しています。マスタリングは時代時代で人々の嗜好が変わるため変わらざるをえないのです。かつては自然な音圧、広いダイナミックレンジがもてはやされたのですが、現代ではより強い音圧、前に出てくる音というものが求められます。どちらが正しいという問題ではなく、好みの問題だと思います。

今回のCD & LP で分かったことは Primary Wave Music が他の曲もリマスターしていることです。今後オリジナルアルバムの更なるリリースが期待できます。できれば(需要は少ないでしょうが)ハイレゾも付けて欲しいです。

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