If Not For You 2022年US盤

 

 

■LP

 

   
Inner
Side1
If Not For You (2022 US Primary Wave / ONJ9034 792755903438
 
JP Box Set Side1
If Not For You (1971 US Original Uni / 73117)
 

上段が2022年8月に発売された50周年限定盤で下段が1971年のUSオリジナル盤です。表面:2022年盤は印刷が新しいため発色が鮮やかです。71年のオリジナルは退色が著しいので少し補正をかけましたが、今一な結果に…
裏面:基本的には同じですが、右上の STEREO 73117 が単に STEREO に変わり、オリジナルは曲名、収録時間、作者、出版社、BMI or ASCAP の表記がありますが、2022年盤は曲名のみになっています。2022年盤は紙の内袋があり、片面にはUK盤のジャケット裏面にあったスタジオ録音時の写真が2枚、Banks of The Ohio シングルカット時の彼女のプロフィール紹介、2022年LPのエンジニア、プロデューサー等のクレジットがあり、もう片面には歌詞が印刷されています。

2022年盤の音質自体は非常によいです。ただSide1のIf以降とSide2のIf Not For Youにザッという耳障りなノイズが一部入っています。恐らくプレス時の品質管理の問題ではないかと思われますが、マスタリングが秀逸なだけに残念ですね。(新品のレコードに超音波洗浄とバキュームクリーニングを施してこれです)近年のUS盤の酷さは何度かネット上で報告がありましたが、確かにこれは酷いですね。後述しますが、CDではかなり音圧が上げられているのに対し、LPではほとんど感じられません。ちなみにDynamic Range MeterでSide1が11、Side2が13でした。私の手持ちのオリジナルUS盤ではSide1が12、Side2が11なのでLPでは音圧はほとんど上げられていないと思います。オリジナルの1971年US盤と比較して少し音質アップしている印象です。UK盤と比較するとUS2022年盤は中低音が豊かで、UK盤はややスカスカな印象を受けます。

US盤ではお馴染みのシュリンクに貼られた宣伝用ステッカーも付けておきます。

2022年ステッカー 「50周年限定盤 オリビアのデビュー・アルバム」

今回の2022年盤はオリジナルの1971年盤と違ってゲートフォールドになっており、、内側に日本盤の Crystal Lady と同じ写真が同じレイアウトで印刷されています。

2022年盤If Not For You 日本盤CRYSTAL LADY
左が2022年盤 If Not For You 右が日本盤 CRYSTAL LADY 明らかに CRYSTAL LADY のアイディア流用でしょう

また2022年盤はジャケットに厚みがあり、横から見ると箱のように見えます。でも2枚組ではありません。

2022年盤If Not For You 日本盤CRYSTAL LADY
左が2022年盤 If Not For You 右が日本盤 CRYSTAL LADY 2枚組の方がはるかに薄いことが分かります

 

■CD

 
2022年US CD Front 2022年 US CD Back
見開き写真
2022年 If Not For You Deluxe Edition US 2CD Primary Wave / ONJ9000 279275500024
 

■1stアルバム50周年記念盤
2022年9月にアメリカで初めてCD化されたオリビアのファースト・アルバムで、デラックス版と名付けられているとおり、未発表曲を含む2枚組CDとなっています。このアルバム発売について知ったのはオリビアが亡くなる直前にオリビア博士のさわださんからメールをもらったからでした。CDに付属のブックレットを読むとオリビア自身が2022年3月にあいさつ文を書いていることから、この再発は彼女自身が関わっていた企画だったようです。なぜこの時期にファースト・アルバム?とは思いますが(50周年から1年経っている)新たに入手できることはいいことです。ケースはデジパックでした。
LPの音質が素晴らしかったことからCDにも期待が持てます。2012年に発売された My Country の音がヨレていたことから若干の不安はありましたが、結果的には問題ありませんでした。ただし音圧はかなり上がっています。今までに発売された日本盤CD (CP21-6074)、オーストラリア盤CD (D 19809)、英国盤CD (48 Original Tracks)と比較すると、1993年のオーストラリア盤CDは恐らくマスターテープからの単なるコピー、日本盤と英国盤CDは若干高域をブースト、2022年盤CDはそこに更に中低域をブーストし、音圧も静かな曲を中心に上げています。ただし1stアルバムは賑やかなアップテンポの曲が少ないこともあり、聴感上はそれ程違和感を感じませんでした。つまり聴いていてうるさく感じなかった、ということです。私はこのアルバムが好きなので脳内補正が入っているかも知れませんね。
Dynamic Range Meter の結果も挙げておきます。LPと比較できるようにCDから抜いたwavをわざわざSide1、Side2と同じ曲構成で波形編集ソフトを用いて繋げています。私のサイトは大したことないですけど、実はけっこう手間がかかっているのです。LPのジャケットのスキャンだけでもかなりの手間で、正直やりたくないほどです。もちろん省ける部分は思いっきり省略してますけど。

タイトル Dynamic Range Meter の値(値が大きいほどダイナミックレンジが広い)
日本盤CD (CP21-6074) Side1:DR11 Side2:DR12
93年のオーストラリア盤CD (D 19809) Side1:DR11 Side2:DR12
英国盤CD (48 Original Tracks) Side1:DR11 Side2:DR11
2022年盤USCD Side1:DR7 Side2:DR8
1971年オリジナルUSLP Side1:DR12 Side2:DR11
1971年オリジナルUKLP Side1:DR12 Side2:DR13
2022年盤USLP Side1:DR11 Side2:DR13

値だけ見ると今回の2022年盤CDはけっこう酷いです。しかし1stアルバムは80年代のアルバムと比較すると静かな曲の割合が高いため、前述のとおり聴感上それ程うるさく感じられませんでした。

■ボーナストラック
この50周年盤は2枚組CDであり、1枚目は1stアルバムで2枚目はボーナストラックとなっています。

トラック
曲名
コメント
1 Till You Say You'll Be Mine 1966年の彼女の最初のシングルです。これまでに何度かCD化されています。
2 For Ever 上記1stシングルのB面だった曲、これも既にCDで出ています。
3 The Biggest Clown If Not For You のB面曲。クレジットによるとこれも既にCD化済とのこと。え?いつCD化されたの?全然知らなかったよ。これを聴いてブッタマゲたのは何とステレオバージョン!うーん、これは新鮮。今まではシングルB面をデジタル化したものを聴いてました。
4 It's So Hard To Say Goodbye 2ndシングル Love Song のB面だった曲。これは48 ORIGINAL TRACKSやCountry GirlにCD収録されていますね。ただ音圧は上げられています。
5 Would You Follow Me これも 48 ORIGINAL TRACKS にCD収録されていました。その時はステレオ収録されていることに驚きましたが、今回の Would You Follow Me もステレオ収録です。しかも別ミックス!1:46の Would You Follow Me 〜というくだりは、オリジナル・シングルや CRYSTAL LADY、48 ORIGINAL TRACKS にも入っていませんでした。収録時間も約25秒長くなっています。シレッとこういうものを入れてくるんで油断ができません。
6 Walkin' On Air Toomorrow の曲。2014年のCDより少し音圧が上がっています。
7 Goin' Back 同上
8 I Could Never Live Without Your Love Toomorrow のシングル曲。初CD化のレア曲です。何故かモノラルですね。ブルース・ウェルシュのプロデュースです。
9 Roll Like The River 同上 この Toomorrow シングル2曲は建前上は一応オリジナルマスターテープからのものということになっていますが、恐らくシングル盤を再生した録音からノイズを取り去ったものではないかと思います。Roll Like The River では一部音が割れています。つまり所謂盤起こしではないかと。
10 Don't Move Away これはクリフのCDで既発です。音もあまり変わらないような。日本でシングル発売された時はモノラルでしたが、CDではステレオになっています。
11 Would You Follow Me (edit) これは今までにリリースされていないと表示されていますが、単なるモノラルバージョンなので、オリジナル・シングルや CRYSTAL LADY に収録されています。それともこの11曲目が「代用バージョン」なのでしょうか?
12 The Biggest Clown (alternate version) 実際の12曲目には未発表曲の Round And Round が入っています。これはマスターテープが見つからなかったのでアセテート盤から起こしたと書かれています。これはジョン・ファーラーの曲ですが、とてもとても甘いメロディーですね。モノラルです。
13 Would You Follow Me (alternate version) 実際の13曲目には The Biggest Clown (alternate version) が入っています。これはマスターテープが見つからなかったのでアセテート盤から起こしたと書かれています。これは完全に別テイクで、伴奏はアコースティック・ギターとピアノに目立たないようにベースとドラムスが入っています。ボーカルは2本入っていてきれいにハモっています。
14 Round and Round 実際の14曲目には Game Of Love が入っています。これはマスターテープが見つからなかったのでアセテート盤から起こしたと書かれています。作者の Petrina Lordan は元々クリフ&シャドウズ関係の人で、オリビアには Water Under The Bridge (Have You Never Been Mellow に収録)を提供しています。
15 Game of Love 実際の15曲目には Would You Follow Me (alternate version)が入っています。アコースティック・ギターのコードストローク主体の本家ジョン・コンゴスに似たシンプルなアレンジです。これは音がけっこう生々しくて、もしかしてこれはオリジナルマスターから?と思ってしまいます。
16 Unten Am Flus, Der Ohio Heist ファンの間では有名な Banks of The Ohio のドイツ語バージョンです。これも既にCD化されていることになっています。マスターテープが残っていたことに驚きですね。
17 Unten Am Flus, Der Ohio Heist (instrumental) 上記のインストバージョン。うーん、これを出す意味がわかりません。カラオケ用?

海外のCDで曲名表示が誤っていることは時々ありますが、今回のCDは残念ながらその点でのみダメでした。でも内容がけっこう深掘りされていてよいです。基本的には1stアルバムの再発なのですが、同時に1stアルバムに至るまでの歴史もまとめています。厳密に言うと、The Shadows の1曲の一声も入れるべきではなかったかと思いますが、これでも十分でしょう。

スペクトログラムの比較も挙げておきます。

タイトル スペクトログラム

日本盤CD (CP21-6074)日本盤CD (CP21-6074)

基本情報としてSide1の方が大きな音になっており、制作側としてはSide1に力を入れていることが分かります。一押しのIf Not For Youは1曲目(外周になるにつれ音質が落ちるため、一般的には最初のほうに聴いて欲しい曲を入れ、終わりの方はそれほどでもない曲を入れることが多い)ではありますが何故かSide2に入れています。
あともう1つ分かるのは20kHzぴったりで切っていないこと。

日本CD Side1
日本CD Side2

英国盤CD (48 Original Tracks)英国盤CD (48 Original Tracks)

上の日本盤CDとほとんど同じスペクトログラムです。曲によってはより高音強調の傾向が強まりますが、決してやりすぎていません。はっきりくっきりクリアな音でありながら自然な音圧で、よいマスタリングだと思います。

UK 48 aaaoriginal Tracks
UK 48 Original Tracks Side2

1993年オーストラリアCD

基本は上2つと大差はありませんが、やや高音強調の傾向が薄れます。もしかしてマスターテープから単にコピーしただけ?

US LP (1971) Side1
US LP (1971) Side2

2022年盤USCD

今までの3つのCDと比べ中低音もブーストし、音圧もかなり上げています。

1971年オリジナルUSLP US LP (1971) Side1
US LP (1971) Side2

2022年盤USLP

高域がアップしています

1971年オリジナルUKLP

 

 

 

戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送