名古屋公演の全容

 

まず、バンド・メンバーについて

Olivia Newton-John Main Vocal
Andy Timmons Guitar, Musical Director
Warren Ham Harp, Horns, Vocals
Dane Bryant Keyboards
Lee Hendricks Bass
Dan Wojciechowski Drums
Steve Real Backing Vocals, Percussion
Marien Landin-Chapman Backing Vocals
Chloe Latanz Vocals

 

 

 

 

 

 

 

基本的には娘のChloe(クロエではなくクロウィーと発音していましたね)を除く8人構成で、バッキング・ボーカルを置くのはポップスのコンサートならではです。メンバーとしては多い方ですが、ステージではそんなに音の厚みは感じられずむしろ隙間の多い音に思えました。(その分ボーカルはよく聴こえましたが...)
個人的にはアコースティック・メドレーのところでもう一人ギターが欲しかったです。
あと印象的だったのはドラムス、ベースのリズム隊を右端に追いやっていたこと。ドラムスは防音ブースに囲まれていてこんなところもポップスのコンサートらしいと思いました。(まあドラムスの防音ブースは珍しくないですが。)
各メンバーの配置は以下のようだったと思います。Warren HamとAndy Timmonsの位置がちょっとうろ覚えなので違っていたかもしれません。また曲によって後ろにいるメンバーが前に出てきていました。

オープニングは彼女の代表曲のインストゥルメンタル・メドレーで幕を開けました。彼女はまだ登場していません。
If You Love Me
Let Me Be There
Please Mr. Please
Have You Never Been Mellow
Sam
Hopelessly Devoted To You
You're The One That I Want
Summer Nights
A Little More Love
Xanadu
Suddenly
Physical
Magic
Don't Cut Me Down
Not Gonna Give In To It
I Honestly Love You
Physical

同時に中央のスクリーンにさまざまな過去の写真が映し出されて、ちょうどビデオの「オリビア・イン・コンサート」のような感じでした。彼女の輝かしい経歴をざっと振り返った訳です。メドレーの中で"If You Love Me"と"A Little More Love"だけが登場後に歌われませんでした。歌われなかったと言えば公演後の掲示板では"Twist of Fate"をやって欲しかった、という声が多かったですね。個人的にはちょっと興味深かったです。

さてひととおりメドレーが終わるとアカペラで'Maybe I hang around here a little more than I should. We both know I got somewhere else to go.'と「愛の告白」の出だし部分を歌うオリビアの声が聴こえてきます。
その後バンド演奏とともにステージに登場します。
背中のはだけた真っ赤なドレスに身を包み、胸にはダイヤのクロス・ペンダント(2ctぐらいか?)、左手には幅広のバングルをつけての登場です。美貌は相変わらずでとても54歳には見えません。その美しさと間近で見る生身の大スターに興奮しました。白人特有の特徴ですが顔が小さいです。自分がモンゴロイドであることを思い起こさせられました。

その後ドラムスのカウントとともに「そよ風の誘惑」続いて「ザナドゥー」に突入。ボーカルはやや苦しいかな、という感じでまだ完全にエンジンがかかっていないようです。ちなみに「ザナドゥー」は歌うのが意外と難しい曲です。
「ザナドゥー」の後「皆さん、こんばんは」といきなり日本語でオリビアのMCが入ります。
簡単なあいさつの後「次の曲もザナドゥーからの曲で、お気に入りの曲の一つです」と言って「マジック」に移ります。
レコーディングでみられたハイハットのディレイやスネアのゲート・リバーブのような小細工はさすがに聴かれず、ストレートにそのままの演奏です。ギターソロもついてほぼシングル盤と同じ演奏でした。
80年代前半のレコーディングは高音を強調した、エレクトリックな雰囲気でライン録りっぽい音が流行でした。

「マジック」の後「乾杯!」とお馴染みのフレーズの後お茶を一口飲み、バンド・メンバーの紹介をします。
彼女によると、バンド・メンバーはコンサートの中で非常に大きな位置を占めており、それぞれが誰なのかを聴衆に知っておいて欲しいとのことでした。
バンド・メンバーには恐らく彼女と同年代ではないかと思われる初老の男性が3人もいて、ちょっと考えさせられました。(ロシア風の名前のドラマーだけは、私の座っていた席から離れていたため年代がわからなかった)
キーボード奏者のデイン・ブライアントはひたすら傍役に徹し全く目立ちませんでした。ベースのリー・ヘンドリックスも基本的には傍役に徹していましたが、アコースティック・メドレーの時だけステージ前面に出て来て少し脚光を浴びました。初老3人組のうち一番目立っていたのがマルチ・インストゥルメンタリストのウォーレン・ハムです。
演奏自体は素晴らしかったのですが、何と言うか少し浮いている、という感じで周囲のテンポとは関係なくマイ・ペースで我が道を行く、といった感じでした。
ギターのアンディー・ティモンズは一部では有名な人だったようで、バンド・メンバーの中では一番声援を浴びていました。若々しいルックス、いかにもロック・ギタリストと言った感じの長髪で、バンドに若々しさ、エネルギッシュさを吹き込んでいました。
あと2人、すんぐりむっくりした体型の若い男女がバッキング・ボーカルを担当していました。背が低い割にかなり太っていたので目立ったのです。何だかオリビアのコンサートに不似合いだな、何でこの2人が・・・と思っていたのですが歌を聴いて納得しました。滅茶苦茶歌がうまいのです!まあ、バック・コーラスの歌い手と言うのは往々にしてそうなのですが、それにしても凄いボーカリストたちです。 男性の方はスティーブ・リアルと言い、女性はマリエン・ランディン・チャップマンという名前でした。

メンバーの紹介に続いてオーストラリアで昨年発表された(2)からの「アイ・ラブ・ユー・クレージー」に入ります。
ピアノで始まる曲で前述のバック・コーラスの2人がその実力を如何なく発揮します。大変完成度の高い曲です。うーん、これはいい曲ですね。終わった後、オリビアも思わず「この曲は好きよ、楽しいわ」と言っていました。
本音を言えば彼女も過去のヒット・メドレーなんかより最新の(2)からもっとたくさん歌いたかったのではないでしょうか?(私の憶測ですが...)彼女の場合あまりにもヒット曲が多すぎるので、それらを期待するファンのことを無視できないのでしょう。
この曲で彼女のボーカルも完全にエンジンがかかりました。

オリビア「とっても新しい曲からとっても古い曲に移ります。今晩誰か皆さんの中に[サム]という名の人はいます?」
彼女の問いを理解できなかったと思われる聴衆一人「フー!!!」
オリビア「これはあなたのための曲よ」
少しタイミングがずれて別の聴衆「フー!!!」
オリビア「それとあなたのための」
上記のようなやりとりの後「サム」を歌います。ウォーレン・ハムがハーモニカを吹いている以外はほぼオリジナルどおりの演奏です。個人的に大好きな曲なので、この曲を選んでくれたことは嬉しかったです。

次にアコースティック・メドレーに移ります。
私は、実は常々彼女が昔「カントリー」歌手と扱われていたことに違和感を覚えていて、「どっちかっつーとフォークだろ?」と思っていたので、彼女自身が「コンサートのこの( アコースティック・メドレーの)パートが好きです。だって本当に古い曲・・・古いカントリーソングを歌えるからです。カントリー&ウェスタンはお好きかしら?」と言ったことに少し驚きました。(そう言えば"One Woman's LIVE journey"でもIYLMの紹介の時"one of my country hits"と言っていましたね。)
リーとティムがエレアコに持ち替えてステージ前面に出てきます。オリビアは2人に挟まれて椅子に座っています。
そしていきなり始まったのが「イフ・ノット・フォー・ユー」!あれ?この曲はお嫌いだったのでは?
ティムはボトル・ネック奏法でオリジナルの雰囲気を出しています。曲自体はボブ・ディランのアレンジに近いものでした。少し短縮されて終わります。
お次は何と「バンクス・オブ・ジ・オハイオ」!!!!!
最初出だしのギターを聴いた時は「ブルー・アイズ・クライング・イン・ザ・レイン」かと思いました。
それが何と「バンクス・オブ・ジ・オハイオ」!!!!!(しつこい?)
私はもう嬉しくて涙が出そうになりましたよ。いやあ生きてて良かった。(ちと大袈裟か?)
しかもフル・コーラス歌ってくれました!日本でこの曲がヒットしたことはないのになぜこの曲をやってくれたのでしょう?(「ハート・アタック」や「トゥイスト・オブ・フェイト」や「メイク・ア・ムーブ・オン・ミー」や「ア・リトル・モア・ラブ」といった[大御所]を抑えての登場ですからね)
欲を言えばもう1本アコギが欲しかったのと後半のブラス風キーボード?のところを再現して欲しかったですが、そこまで望むのは贅沢というものでしょう。あと、昔から疑問に思っていたサビのところの歌詞はやはり"Down the side"ではなくジョーン・バエズと同様"Down beside"と歌っていました。単なるオーストラリア訛りだったようです。
続いて「レット・ミー・ビー・ゼア」です。これは彼女にとってどうしても外せない曲でしょう。
ウォーレン・ハムがハーモニカを吹いたりしてオリジナルとは少し違った趣です。この曲はかなり短くカットされてサラッと終わってしまいます。
次は「プリーズ・ミスター・プリーズ」です。出だしのイントロでティムが少し躓きますが、ウォーレン・ハムがフルートでカバーします。デインのキーボードが本物そっくりのストリングスの音を出して曲を盛り上げます。この曲は美しく切ないメロディーで日本人にも昔から人気のある曲です。
フル・コーラスで歌って欲しかったのですが途中で打ち切られて日本での大ヒット曲である「ジョリーン」に移ります。
実は私はこの曲が余り好きではありません。(好きな方、申し訳ない!)
最後の裏声の高いパートも歌っていたのが印象的でした。

間髪入れず妙なリズムのドラムスが始まります。続いてベース、次にピアノとギターが入って曲が「フィジカル」であることが明らかになります。最初のドラムスでこれが「フィジカル」であることが分かった人は多分いないでしょう。
かなり大胆にアレンジを変えていて、世界的大ヒット曲であることもありこのアレンジはコンサート後の掲示板でも話題を呼んでいました。ギター・ソロの部分はウォーレン・ハムのサックス・ソロに変わっていました。ティムのファンは残念だったかも。

この後彼女は再びお茶を飲みます。その時一人の聴衆が「何故ワインを飲まないの?(もちろんコアラ・ブルー・ワインに引っ掛けて)」と聞きます。彼女は笑って「飲むとフラフラになっちゃうから」と答えお決まりの「カンパイ!」を言って次の「アイル・カム・ラニン」に移ります。
この「アイル・カム・ラニン」も(2)からの曲でちょっとソウルっぽい曲です。マリエン・ランディン・チャップマンとのデュエットを楽しませてくれます。(2)からの曲は、先の「アイ・ラブ・ユー・クレージー」もそうですが、さすがに最新の曲だけあって今の彼女にぴったり、という感じです。いい感じの大人のポップスに仕上がっています。

続いてダンサブルな「ノット・ゴナ・ギブ・イン・トゥ・イット」です。
「私たちは皆友だちです。そして団結して助け合わなければならない。この曲を書いたのは何年も前---10年前ある大きな問題を抱えていた時のことです。でも今夜は皆のために歌いたいわ、だって私たちは皆今この瞬間一緒になっているって思うから、OK?だから私たちは屈しちゃだめなのよ、そうでしょ?」
と言って始まります。陽気な曲調とは裏腹に、オリビアにとってはとてもシリアスな意味のある曲なのです。

動き回って疲れたのか、歌い終わった後「アリガトウ、私屈しちゃったみたい、でも問題ないわ。」と言って3杯目のお茶を飲みます。その後「10年ほど前私はブラジルに行きました。そこで美しい熱帯雨林を見てとても心を打たれました。この曲を木々のために書きました。」と言って「ドーント・カット・ミー・ダウン」が始まります。

シリアスな2曲の後次のように話し始めます。
「今は17才になった娘のクロウィーが生まれた時、私たちは「オズの魔法使い」という映画をよく見に行ったわ。みんなは「オズの魔法使い」は好き?あんまり好きじゃない? それは一緒に見るお気に入りの映画でした。次の曲はその映画の中のお気に入りの曲のうちの一つです。」
"the wizard of Oz"(「オズの魔法使い」)という単語が難しかったのか観客からの反応はなしでした。
そうして「オーバー・ザ・レインボウ」が始まります。伴奏はデインのピアノとウォーレン・ハムのフルートのみでなかなか雰囲気を出しています。途中から娘のクロウィーが登場してデュエットになります。クロウィーはちょっと声質が低いですが、歌はなかなかうまいです。

歌い終わるとオリビアが娘を紹介します。日本での初デビューであることを強調します。母親の紹介の後クロウィー自身が喋ります。
「ミナサン、コンバンワ。次の曲は私が自分で書いた曲です。今夜はみんなのために歌います。楽しんでくれると嬉しいな」
さすがに17歳だけあって初々しいですが、その自作曲「リーズン・トゥ・クライ」は思いっきりロックっぽい曲で母親の若かりし日のスイート&メロウ路線とは大違いです。ギターのティムもようやくといった感じでギターを弾きまくります。17歳にしてはかなり渋い曲で、歌い方もかなりロックっぽいです。

その後オリビアがステージに戻ってきて彼女を祝福します。その時の言葉が「私のベイビー、クロウィー!」ですから17歳の娘とその母親にしてはずいぶんな親密ぶりで日本とは文化の違いを感じさせられます。
その後再び2人のデュエットで「イット・テイクス・トゥー」を歌います。
シンセの軽やかな音色で始まるこの曲は、まさに仲のよい親子が歌うにはぴったりの曲ですが、どうもクロウィーの声質に合っていないようです。クロウィーにはもっとロックっぽい曲が合いますね。

続いて「追悼シリーズ」に入ります。
まずはジョン・デンバーの「カントリー・ロード」です。この曲は日本で大ヒットした曲ですのでジョン・デンバーの生死に関係なくやっていたでしょう。曲自体は短縮されて歌われました。
次はカーペンターズの「クロース・トゥ・ユー」です。カレン・カーペンターが亡くなったのはもう随分前のことですのでなぜ今回のコンサートでこの曲を取り上げたのかちょっと不思議な気がします。
しかし何度聴いてもいい曲ですね。確か71年にクリフとのライブでもこの曲を歌っていましたが、30年以上たっても相変わらず美しいボーカル・ビブラートです。

次の曲は「サンペイさんに」と前置きされて「たそがれの恋」です。
オリジナルと違って静かなバージョンです。出だしのギターもアコースティックですが、ティムがうまく雰囲気を出して弾いています。ところが1コーラス歌ってあっけなく終了してしまいます。うーん、残念。オリビアはこの曲にはあまり思い入れがないのかな?いい曲なんですけどね。

続いてスティーブ・リアルとのデュエットで「恋の予感」です。これまたギターはアコースティック。オリビアは当たり前にしても、スティーブ・リアルは本当に歌がうまいですね。

静かな曲が続いた後は「グリース」シリーズで盛り上がります。
まずは「愛のデュエット」。オリビアが革ジャンを着込んだ時点でかなりの拍手です。
確かウォーレン・ハムとのデュエットだったような気がしますが、ひょっとしたらスティーブ・リアルだったかも?

続いて同じ「グリース」から「愛すれど悲し」です。これも本当にいい曲ですね。ジョン・ファーラーという人がいかに天才だったかよくわかります。

最後は「サマー・ナイツ」です。観客に歌わせてこのコンサートのハイライトにしています。
大きく盛り上がったところでいったんコンサートは終了
します。「愛のデュエット」のインスト版で締めくくられます。

その後あまり待たせずにアンコールの登場です。
「次の曲はビージーズのうちの一人によって書かれた曲です。残念なことに今年モーリスが亡くなりました。それで彼を偲んでこの曲を歌いたいと思います。大好きな曲です。」
というアナウンスの後「一人ぽっちの囁き」が始まります。モーリス・ギブが亡くなったのは残念なことですが、そのおかげでこの曲を生で聴くことができました。この曲を生で聴くことは多分2度とないでしょう。私自身そんなに好きな曲ではありませんでしたが貴重な体験となりました。 フル・コーラスで歌ってくれました。

最後は恒例の「愛の告白」です。
「ミナサン、マタネ」と辿々しい日本語での挨拶の後しっとりと歌われます。途中ピアノの伴奏にかぶせてストリングスの音が出ていましたが、どうやってやっていたんでしょう?
ちなみに「アイテマス」は残念ながらなかったです。
曲の直後"Ooh I love, ooh I love, I honestly love you"というコーラスとともに終了しますが、それと同時にスタンディング・オベーションと拍手の嵐でした。
本当に素晴らしいコンサートでした。

 

 

 

 

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