■ベンチマーク・テスト
私はオーバー・クロックに関心がある訳ではなく、また非常に高速な最新のマシンを所有している訳でもありませんが、ベンチマーク・テストは好きです。
ところが世の中の大半のベンチマーク・テストは Windows 環境を前提としたものばかりで、Windows で動作してなおかつ旧 Mac
OS でも動作するものは非常に限られています。
有名なところでは Cinebench という主としてビデオ性能を計測するものがあるのですが、もっと他に種類はないものかと探してみると「姫野ベンチ」というものと「素数
Bench 」というものがありました。
そのうちの素数 Bench をここで取り上げたいと思います。
ベンチマーク・テストというものは、当然のことながら絶対的な指標ではなく、あくまで参考程度に見るのが正しい見方です。
特定の CPU にとって有利に働くベンチマークと逆に不利に働くベンチマークとがありますし、小さなサイズのプログラムではキャッシュの有無が大きく影響します。
コンパイル・ソフトの影響も大きいことでしょう。
■素数 Bench
素数 Bench は小笠原氏が作ったプログラムでここで落とせます。
Windows 用や Mac 用のプログラムだけでなくさまざまな環境用のプログラムが用意されています。
たくさんのベンチマーク結果も上記ページで見ることができ、概ねクロック順になっていますが、PentiumM の高速性が際立っています。
で、私もたくさんある手持ちのマシンで計測してみました。
どうもこのベンチマークは浮動小数点計算を多く含むようで PowerPC には有利なようです。
グラフはバーが短い程高速で、左から速い CPU の順になっています。
上のグラフは見てのとおり上限値:10,000の結果ですが、クロック比に対して
PowerPC 系が優秀な結果を出しています。
左から2番目の青色(Pentium4/3.0GHz)と真ん中の水色(MMX Pentium/200MHz)とその右の緑色(MMX Pentium/166MHz)だけが
x86系で他は全て PowerPC です。
FPU ベンチに強い603e が601よりいい結果を出しているのが興味深いです。当時の Apple では PowerPC601 はハイエンド、PowerPC603e
はローエンドという位置付けで、そのことは下表の2次キャッシュの容量の差を見ても分かります。
下表は計測したマシンの詳細です。
CPU
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クロック
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1st Cache
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2nd Cache
|
Third Cache
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マシン
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OS
|
テスト結果
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PPC7450 Dual |
1250MHz |
64K |
256K |
2MB |
PowerMac G4 MDD |
Mac OS 9.2.2 |
0.1
|
Pentium4 (北森) |
3000MHz |
32K |
512K |
|
Endeavor pro2500 |
Windows XP Pro SP1 |
0.109
|
PPC7451 (Sonnet) |
800MHz |
64K |
256K |
1MB |
PowerMac 9600/300 |
Mac OS 9.1 |
0.166
|
PPC750 (パワロジ) |
400MHz |
64K |
1MB |
256K |
PowerMac 8500/150 |
Mac OS 8.1 |
0.35
|
PPC604e (Intweware) |
200MHz |
64K |
512K |
|
PowerMac 7500/100 |
Mac OS 8.1 |
0.716
|
PPC604e |
180MHz |
64K |
512K |
|
PowerMac 9500/132 |
Mac OS 8.1 |
0.8
|
MMX Pentium |
200MHz |
32K |
256K |
|
FMV SIII 20B |
Windows 98SE |
1.48
|
MMX Pentium |
166MHz |
32K |
256K |
|
ThinkPad 560E |
Windows 95 OSR2 |
1.81
|
PPC603e |
117MHz |
32K |
|
|
PowerBook 1400cs |
Mac OS 7.6.1 |
2.15
|
PPC601 |
110MHz |
32K |
512K |
|
PowerMac 8115/110 |
Mac OS 8.1 |
2.349
|
PPC603e |
100MHz |
32K |
|
|
PowerBook 5300cs |
Mac OS 7.6.1 |
2.5
|
PPC601 |
100MHz |
32K |
512K |
|
PowerMac 8100/100 |
Mac OS 8.1 |
2.566
|
|
|
今度は上限値:100,000の結果ですが、10,000の結果と同様に
PowerPC 系が優秀な結果を出しています。
ただし、断っておかなければならないのは上記の結果は体感の速さと必ずしも一致しない、ということです。
MMX Pentium の結果が悲惨なものになっていますが、実際の体感では同クロックの PowerPC604e を凌ぐほどです。
これは Apple やサード・パーティーが CPU の速さを生かすプログラムを出せなかった、ということではないかと思われます。
参考までに Photoshop を使った画像処理にかかる時間を計測したグラフをあげておきます。
これも絶対的な結果ではありませんが、より体感に近いグラフとなっています。
当然のことですが、処理の内容によって上記の比率は変化します。
上のグラフは Pentium4/3.0GHz で1秒で終わる処理が PowerPC 601/110MHz では29.6秒かかる、という意味ですが、処理によってはもっと時間のかかるものもあればもっと短い時間で済むものもありますので、上記はおおよその目安です。
上記グラフでも PowerPC 系がクロック比よりよい結果となっていますが、Photoshop 自体が Mac に最適化されていると揶揄されることも多いのでそのあたりを考慮する必要があるかも知れません。
手持ちバージョンの関係で MMX 系は載せませんでしたが、PhotoDeluxe の結果でも同クロックの PPC 604e の方が速かったので、画像処理系は
PowerPC の得意分野なのかも知れませんです。
逆に WEB ブラウズでは MMX166MHz 程度でもそこそこ実用的なのに対し、PowerPC 系は400MHz でもちょっと苦しいものがあります。
これは処理能力と言うより最適化されたプログラムが存在しない、ということだと思います。
■PowerPC 使用感
私は95年の暮れ以来 PPC601/100MHz → PPC604e/200MHz
→ PPC750 (G3)/400MHz → PPC7451 (G4)/800MHz → PPC7450 (G4)/1250MHz Dual
とほぼ倍々で使ってきたのですが、使用感としては、
PowerPC601/100MHz →高速性を宣伝されたのとは裏腹に全くいいところのなかった
CPU でとにかく遅い
PowerPC604e/200MHz → ようやく多少使い物になるかな?といった感じだが、今の基準ではかなりつらい速度
PowerPC G3/400MHz → このクラスになると今でもそこそこ使える
PowerPC G4/800MHz → 現在でも十分な速さと言える
PowerPC G4/1250MHz Dual → OS9.2.2 環境なら爆速で申し分なし
といった感じです。(当然ながら、上記はビデオ、ハードディスクににそこそこのものを使い、十分なメモリを積んだ状態でアンバランスなバージョンの
OS やアプリを使用しない、という前提の話です)
■PowerPC の他のベンチ結果
参考までに PowerPC を使ったベンチマーク
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