■写真の切り抜き
写真の切り抜きの方法には色々あるのですが、Photoshop のペンツールを使う方法が王道でしょう。
Photoshop は比較的高価なソフト(2005年10月現在で8万円前後)ですが、写真画像をパソコンで処理する人にはとても便利なソフトです。
スキャナやタブレットに付属のバンドル版からアップグレードするのが賢いと思います。(私の時は¥52,500でした)
ちなみに 1万円前後で買える Photoshop Elements にはペンツールがないようです。
ペンツールは Photoshop のバージョン3.0以降についています。(それ以前のバージョンは私には分かりませんが、使っている人は多分いないでしょう)

■ペンツール
Photoshop は人気ソフトなので解説本や解説サイトが非常に多いのですが、ペンツールの使い方については分かりづらいものばかりのような気がします。(多分あまりにも当たり前すぎて、書かないのだろうけど・・・)
Photoshop を使いこなすのには「選択範囲」を自在に操ることが必要であり、また Illustrator でもペンツールを使いこなすことが Illustrator を使いこなすことだと言われています。
ペンツールはきれいな曲線を描くには必須のツールであり、実際多少なりとも使えるようになると大変便利なツールです。
ここでは画像の切り抜きという観点からこのペンツールの使い方について解説したいと思います。
実際の解説に入る前に、まずこちらをお読み下さい。→作業効率を上げるためのお約束


1. ここでは、右の ZIPPO ライターの画像を例にあげます。
この画像はとあるフリー素材サイトから持ってきたものです。
実際の大きさはこの倍あるのですが、ここでは都合上半分の大きさに縮小して表示しています。
実際の切り抜き作業をする写真は、ある程度以上の解像度があるものが好ましいです。
画像を印刷したり、WEB 用に保存したりする場合の基本は、大きな解像度で作業して最終段階で縮小することです。
こうするときれいな画像になったり、きれいに印刷できたりします。
ただし、WEB 用に画像を縮小する場合、倍率によって画像が汚くなる場合があるので、実際に自分の目で見て確認し、きれいになるように調整する必要があります。
   
2. 作業がしやすいように画像を拡大表示します。
右写真では元の解像度以上に拡大していますので、画像が荒れてジャギーが見えていますが、単に表示を拡大しているだけですので元画像に影響はありません。
きれいに切り抜くためには、最低でも100%表示で、場合によっては200〜300%表示にして作業します。
ここであげたライターの画像は、元々の解像度が低いため切り抜きやすいように拡大して作業していますが、大きな解像度の画像の場合は100%表示でよいでしょう。(ズームツールをダブルクリック
   

3. ペンツールを選択します。(赤く囲んだツール)
左からバージョン5.5、6.0.1、7.0.1 の Photoshop ですが、3.0以降ならどれでも OK ですので適宜読み換えて下さい。
私は CS 以降にはバージョンアップしていませんので、最近のバージョンは分かりません。
悪しからず御了承下さい。
このページでは5.5で説明します。

ペンツールは「パス」を作成するためのツールです。
Photoshop のパスはピクセルを含まないベクトル・オブジェクトのため、印刷されません。
パスは主として選択範囲を作成するのに使われますが、輪郭をカラーで塗りつぶしたり、境界線を描いたりするのにも使われます。

   
4. ペンツールで適当に開始点をクリックします。(赤く囲んだ部分)
黒い点のようなものが見えますが、これが開始点のアンカーポイントです。
   
5. 直線が終わる部分をクリックすると、開始点からの直線が引かれます。
このようにペンツールで2つの点をクリックすることによって、正確な直線を描くことができます。
この直線は「パス」です。
   

6. そのまま曲線がが終わる部分をクリックし、指を離さずにそのまま右方向へドラッグします。
クリックした指を離さないままパスの曲線が画像の曲線と一致するように調整し、一致したところで初めて指を離します
ここがペンツールでベジェ曲線を描く最初の難関ですが、何度か練習すればすぐに修得できます。
大して難しくはないので、コツを掴みましょう。
ドラッグすることによって生ずるハンドルの長さと方向を調整することによって思い通りの曲線のパスを描くことができます。

なお、パスとパスをつなぐ四角い点を「アンカーポイント」と言います。

   
7. そのまま次も同様に適当な所をクリックして、ドラッグでハンドルの長さを調整してパスがうまく画像をトレースするよう試みますが、うまくいきません。
ここが第2の難関です。
ヒストリーパレットや Cmd+Z (Ctrl+Z) で前の段階に戻ります。
[option]キー(Windows の場合[Alt]キー)を押しながら3番目のアンカーポイントにカーソルを合わせるとペンツールのアイコンが から に変わります。
アイコンが変わったところでアンカーポイントをクリックして曲線の方向を変更します
   
8. 曲線の方向が変更されると、右写真のようにハンドルが片側のみになります。
これで再び画像にトレースさせることが可能になりました。
   
9. 6番と同様曲線が終わる部分をクリックし、指を離さずにそのまま右方向へドラッグします。
クリックした指を離さないままパスの曲線が画像の曲線と一致するように調整し、一致したところで初めて指を離します
   
10. そのまま次も同様に適当な所をクリックして、ドラッグでハンドルの長さを調整してパスがうまく画像をトレースするよう試みますが、うまくいきません。
右写真を見るとパスがずれてしまって、変な曲線になってしまっています。
前回と同じですので、慌てずヒストリーパレットや Cmd+Z (Ctrl+Z) で前の段階に戻ります。
[option]キー(Windows の場合[Alt]キー)を押しながら4番目のアンカーポイントにカーソルを合わせるとペンツールのアイコンが から に変わります。
アイコンが変わったところでクリックして曲線の方向を変更します

これで再び正確なトレースが可能になります。
   
11. 以下同様ですので詳述しませんが、うまくトレースしない場合は前の段階に戻って[option]キー(Windows の場合[Alt]キー)を押しながら直前のアンカーポイントにカーソルを合わせ、ペンツールのアイコンが から に変わったところでそのアンカーポイントクリックして方向を変更し、通常通り操作すればうまくトレースできるはずです。
慣れてくると、どこで[option]キー
(Windows の場合[Alt]キー)を押すべきなのかが感覚で分かるようになってきます。
右が一通り周囲をトレースし終えたところです。
ぐるっと一周してパスを閉じる時に最初のアンカーポイントにカーソルを合わせると、カーソルのアイコンが に変わります。
この のアイコンがパスを閉じる合図だと覚えておきましょう。
   

12. パスを閉じたら、パスパレットでパスを保存しておきます。
右図の「作業用パス」という黄色い部分をダブルクリックすると下のダイアログが現れますので必要なら名前を付けて OK を押します。

   

13. ズームツール にしてライターの丸い穴の部分を大まかにドラッグで囲みます。(作業がやりやすいように拡大表示する)
6つの穴についても同様にパスを描きます。
画像を切り抜く場合、このように外側の輪郭だけでなく内側も切り抜かなければならないケースがよくあります。
パスが完成した時点で[ファイル]メニューから[別名で保存...]を選び、Photoshop 形式(.psd)で保存します。
こうすると今作ったパスも画像と共に保存されます。

   

14. 全てのパスを作成し終わったら、選択範囲に変換します。
作成したパスは簡単に選択範囲に変換できます
パスを選択範囲に変換するには右図のようにドラッグ&ドロップするか、Cmd キー(Windows の場合 Ctrl キー)を押しながら右の[パス1]という黄色い部分を1回クリックします。

   
15. 切り抜いた部分だけが選択されます。
これでコピーすればクリップボード経由で Photoshop の別ウィンドウや他のアプリケーションに切り抜き画像を貼り付けできます。
[移動ツール] でドラッグ&ドロップすることも可能です。(対応アプリケーションのみ)
なお、コピー&ペーストする場合、解像度の大きな画像では物理メモリに余裕が必要です。
Photoshop を使うなら可能な限りメモリを積みましょう。
   
16. コピーして Photoshop の新規ウィンドウにペーストしたところ。
どのような背景にでも切り抜いた状態でペーストできます。
   

17. クラリスワークス(ドロー)にペーストしてみました。
きちんと切り抜かれた状態でペーストされています。

クラリスワークスはかつて Mac の世界で標準的だった統合ソフトで、ワープロ・表計算・ペイント・ドロー等の機能があります。

   
18. 唯一の例外は Illustrator。
Illustratorにペーストすると右のように周囲が白い角版の画像が貼付けられてしまいます。
   

19. Illustrator に切り抜き画像を反映させるには、16番のように新規透明ウィンドウにまず切り抜き画像をペーストし、自動選択ツール で shift キーを押しながらライターの周囲を全て選択した後、[選択範囲]メニューから[選択範囲を反転]で切り抜いたオブジェクトだけが選択された状態にします。
次にパスパレットで[作業パスを作成...]を選んで「許容値:0.5 pixel」にして OK をクリックします。
その後パスを保存し、パスパレットのメニューから[クリッピングパス...]を選んで現れるダイアログに OK を押します。
それを Photoshop 形式(.psd)で保存し、そのファイルを Illustrator 上で配置すれば、切り抜きが反映されます。
右はクリッピングパスを施した PSD 画像を Illustrator 上で配置した図です。

   

■まとめ1
ペンツールで直線のパスを描くには、2点をクリックするだけです。
クリックする回数は2回だけ、右写真の番号のように行います。
(順番は逆でももちろん可能)
これは非常に簡単ですね。

   
■まとめ2
ペンツールで曲線のパスを描くには、2点目をクリックした時に指を離さないまま曲げる方向にマウスを動かします。(ドラッグ)
クリックする回数は2回だけ、右写真の番号のように行います。
1番の場所でで1度クリック、2番の場所でクリックしたままドラッグして元画像の境界線に沿うよう調整します。
これは慣れるまで少し練習が必要ですが、大して難しくはありません。
ドラッグした時に現れるハンドルの長さと方向をドラッグで調整し、思い通りの曲線にします。
   

■まとめ3
問題はアンカーポイントから次のパスを描く時です。
連続してパスを描こうとすると、どう調整してもうまくいかない場合があります。
マウスをどう動かしてもこの画像のようにパスがうまく沿わない場合です。
ここで躓く人が多いように思います。

これを避けるには、まず前の段階に戻ります。
[option]キー(Windows の場合[Alt]キー)を押しながらマウスのポインタを最後のアンカーポイントに近付けると、右写真のようにポインタのアイコンが に変化しますので、そのままアンカーポイントを1回クリックします。

すると、右写真のようにハンドルが片側だけになり、曲線の方向が変わります。
これで再び思い通りのパスが描けるようになります。

要は、ハンドルが両側に伸びた状態で連続して次のパスを描こうとせずに、一度曲線の方向を変えハンドルを片側だけにする、ということです。
線の方向を変えハンドルを片側だけにするには、ハンドルが両側に伸びた中心のアンカーポイントを[option]キー(Windows の場合[Alt]キー)を押しながら1回クリックします。
クリックする前にマウスポインタが に変わったことを確認します。

曲線の方向を変えハンドルを片側だけにすると、右図のように再び思い通りのパスを描けるようになります。
通常通りオブジェクトの曲線の終わる箇所でクリックしたまま上方向にドラッグし、パスが元画像を正確にトレースするよう調整します。

 

 

 

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