■アナログ音源とは?

アナログ音源には一般に2種類あります。
カセット・テープとレコード(LP/EP)です。
(他にもオープン・リールやエル・カセット等があります)
どちらも接触式のメディアですので再生する度に少しずつ劣化していきます。

一方CDは非接触式のメディアですので何度再生しても劣化しません。
(厳密に言うとこの世に存在するあらゆるものは劣化します。より正確には変化します。永遠に変わらない物質など存在しません。CDのピンホールは有名でしたね。)
CDは規格が16bit/44.1kHzですので、カセット・テープを記録するにはおおむね十分であり、レコード(LP/EP)を記録するにはやや能力不足といったところです。
がCDは気軽に何度でも再生でき、音質的にもまあまあですから、レコードをCDに焼いておいてふだんはそちらを聴く、ということには意味があると思います。

アナログ・レコードの価値は、たいていの場合それがオリジナルの(もしくはそれに近い)音源だということにあります。
例えば、あるロック・グループが70年代に LP でアルバムを出し、その後90年代に CD で再発された場合を考えてみましょう。
CD の再発版はたいていの場合 CD 用にリマスターされており、ふつう高域を持ち上げたりアタックを強調したりされます。
場合によってはリバーブを付加されたりすることもあります。
つまり70年代に出たオリジナルの音源とはそもそも音そのものが異なり、それぞれが別の価値を持つのです。
CD の音を聴き慣れた耳で同じ曲のアナログ版を聴くと、少し物足りないような、こもって平坦な音に聴こえる場合があります。
でもアナログ版の音源を単体で聴きこんでみると、決して悪い音ではないことに気付きます。
つまり、どちらがよくてどちらが悪いというものではなく、それぞれが別の価値を持っているのです。
アナログ LP/EP にほとんどパチパチ・ノイズがない場合に、特にこのことが言えると思います。
媒体自体はそれぞれに一長一短があるものの、総体的に CD の方が優位にあるのは疑いようがありません。
従って、媒体に記録する元の音源(マスター)が同一である場合には CD の方が有利であり、わざわざ LP を入手する必要性はあまりないのですが、問題はマスターそのものが異なる場合が一般的である、ということなのです。

もう一つマスター・テープの劣化の問題があります。
70年代に録音されたものは録音されてから20〜30年が経過しており、大元の MTR のテープやそれから起こした2ch のマスター・テープも相当劣化していることが予想されます。
同時にそれらを再生できる機材もだんだん減っていることでしょう。
実際に、再発された CD の中には少数ですがそのことを感じさせるものもいくつかあります。
状態のよいアナログ盤を所有している人なら、「俺のデータを提供しようか?」ぐらいに思う人もいるかも知れません。
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■作業の流れを理解しよう

さて、テープやレコードの音をデジタル化して音楽 CD にするにはまず大まかな流れを理解する必要があります。

上図のように、まず準備作業が必要です。
準備作業とは、再生機(オーディオ機器)と録音機(オーディオ機器もしくはパソコン)をケーブルで接続しいつでも録音・再生できるようにしておくことです。
次に録音作業に入ります。
録音作業ではアナログの音声信号をデジタル化して WAVE ファイル(または AIFF ファイル)にします。
WAVE ファイルとは Windows 標準の音声ファイル形式で、CD のように無圧縮の場合は必ずこの形式を使います。
拡張子は .wav です。(Mac の場合は AIFF 形式が標準です)
3番目の編集・整形作業とは、パソコン上で曲間ノイズを除去したり音圧を上げたりして WAVE ファイルを完成させることです。
最後の CD 書き込み作業では CD に収まるように曲数を調整してフォルダにまとめ、音楽 CD 形式で焼くだけです。
編集・整形と CD に焼く作業はパソコンで行いますが、最初の WAVE ファイル作成はパソコンで行う方法とパソコン以外で行う方法があります。

WAVE ファイルは PCM という方式でデジタル化されているため、量子化ビット数とサンプリング・レートというパラメータがあります。
量子化ビット数とはアナログ信号を数値化する際の振幅量でありビット数で表されます。(サンプル・サイズとも言います)
量子化ビット数が大きい程ダイナミック・レンジが大きくなり、音質的に有利です。
音楽 CD の量子化ビット数は16ビットと決められています。
サンプリング・レートとはアナログ信号を数値化する際に1秒間に何回取り込むか、を表したもので Hz(ヘルツ)で表されます。
(サンプリング・レートはサンプリング周波数やサンプル・レートとも呼ばれます)
音楽 CD のサンプリング・レートは 44.1kHz で、これは1秒間に44,100回標本化されることを意味しています。
サンプリング・レートが大きい程高い周波数の音を扱えるようになり、一般にサンプリング・レートの半分弱の周波数を録音・再生できると言われています。
つまり CD は理論上 22,050Hz までの周波数域を扱える訳です。
要は、音楽 CD を焼くには16ビット/44.1kHz の WAVE ファイルが必要、と覚えておきましょう。

上記のとおりまず最初に WAVE ファイルを作成しなければなりません。
WAVE ファイルの作成とは録音であり方法は大きく3つあります。
パソコンで直接録音する方法とオーディオ専用 CDライターを使用する方法、ポータブル録音機を使用する方法の3つです。
どの場合でも前述のとおり 16ビット/44.1kHz で録音します。(より高ビット/高サンプリング・レートで録音して最終段階で 16ビット・44.1kHz に落とす方法もあります)

▼それぞれの長所・短所
録音機材
長所
短所
パソコン
一番ベストで無駄がない方法
・高音質で録音するには専用のオーディオ・インターフェイスが必要
・オーディオ機器と距離が離れている場合に接続が困難
・ある程度のスキルが必要
オーディオ用 CD ライター
・操作が簡単で直接 CD を焼ける
・パソコンとオーディオ機器の設置場所が離れている場合に有効
・曲間ノイズの入った CD になる
・ちゃんとした CD の作成には PC での編集と焼き直しが必要で、リッピングの行程が一つ余分に増える
ポータブル録音機
・操作が簡単(ただし機器に依存)
・パソコンとオーディオ機器の設置場所が離れている場合に有効
編集の際に USB 経由でパソコンへの転送が必要で、行程が一つ余分に増える


どの方法でやるにしろ事前の準備が必要です。
アナログ・レコードはその性質上埃がつきやすく、埃が付くとノイズの原因となりますので事前にクリーニングしておきましょう。
盤の状態がよい場合、適切にクリーニングすればパチパチノイズのほとんどない状態での CD 作成も可能です。
アナログ・レコードの取り扱い方
レコードはイコライザー・カーブと言って高音を強く低音を弱く録音されていますので、正しく再生するには補正が必要です。
また針と音溝との接触振動を音声信号に変換しているため、実際に人間の耳で聴くには大幅に増幅してやる必要があります。
従ってレコードの音を録音するにはターンテーブルとと録音機(PC や専用のオーディオ機器)とをつなぐだけではダメで、フォノ・イコライザーや昇圧トランスといったものが必要になります。
本格的に音質を追求するなら専用のものを別途用意し、そこそこ追求するなら MM/MC に対応したプリメイン・アンプを使い、ひたすら安く済ませるならフォノ・イコライザー内蔵のターン・テーブルを使用します。
イコライザーを経由したアンプの出力端子と録音機の入力端子とを RCA ピン・ケーブルでつないで録音/WAVE ファイル化します。

カセットの場合、事前に再生するデッキのヘッド・キャプスタン・ピンチローラーをクリーニングしておき、消磁も行っておきましょう。
カセット・テープの音を WAVE 化する場合はアンプの出力と録音機の入力をつなぎますが、デッキと録音機を直接つないでも OK です。
本格的に音質を追求するなら据置き型のカセット・デッキを用意し、そこそこ追求するならラジカセの上級機やミニコンポに付属のものを使い、ひたすら安くすませるならポータブル・タイプの再生専用機や普及タイプの安価なラジカセを使用します。

←据え置き型の例  SONY TC-KA5ES
据え置き型のカセット・デッキは近い将来消え去るでしょうから、早めに入手しておきましょう

 

 

■オーディオ用 CD ライターを使用する方法


一番お手軽で私も通常はこの方法で焼いています。
オーディオ用 CD ライターとは、パソコンなしで CD を焼くことができるオーディオ機器で、基本的にデータ CD は焼けません。
CDプレイヤーとデジタル接続してCDの複製も可能ですが、一般的な用途としてはDATのCD化や、アナログ音源のCD化、MTRとつないでマスターCDの制作等が多いでしょう。

←私の愛用機 TASCAM CD-RW700


まず、手持ちのアナログ音源を再生する機材がなければ話になりません。
音質を重視するなら据え置き型のカセット・デッキやMCカートリッジ付のターンテーブル・システムが必要です。当然フォノ・イコライザー付のプリメイン・アンプも必要です。(当然単体のイコライザーでも可)
こうしたオーディオ機材は上は天井知らずでとんでもない価格のものも珍しくないので、どこまで音質にこだわるか、いくらまで出す用意があるのかによって選ぶ機材は変わってきます。

・方法
オーディオ用CDライターと再生機器とをつないで録音するだけです。
ふつうは、アンプの出力端子とCDライターの入力端子をピン・ケーブルでつなぎます。(民生用オーディオ機器の接続端子にはまず間違いなく RCA ピンが使われています)
録音する前にアンプのセレクタおよびCDライターの入力セレクタを調整して、再生のオーディオ信号がきちんとCDライターに来ていることを確認します。あとはCDライターの説明書に従って焼くだけです。
機器固有のクセをつかんで(機器によってはレベル・メーター上で多少オーバーになっても問題ないものがある)クリッピングを起こさない程度にできるだけ大きなレベルで録音するのがコツです。

・CDライターの種類
肝心のオーディオ用CDライターですが、業務用と民生用があります。
業務用(大きな楽器店等で簡単に入手できる)だとパソコン用の安価なブランクディスクが使えるので便利です。
意外に値段的にも安いものがあります。(もちろんハイエンドなものもありますが)
私は TASCAM の CD-RW700 を使用していますが、一応業務用機器でありながら非常に安価です。
2004年夏現在後継機の CD-RW750 がサウンドハウスで税込¥37,500!
これがおすすめですが、お金に余裕のある方はもっとハイエンドなものでもよいでしょう。

・長所
とにかく操作が簡単なところです。
接続も RCA ピンケーブルをつなぐだけですし。
あと、デスクトップ・パソコンを使っている場合でパソコンとオーディオ機器の距離があって接続が困難、もしくは長いケーブルを用意しなければならない場合には有効です。(オーディオの基本はできるだけ短いケーブルを使用することです。信号の劣化やノイズの混入を防ぐためです。)

・短所
私の所有するCD-RW700の話ですが、CD-RW700は通常のオーディオ機器のように録音(記録?)途中でポーズでき、A面からB面に切り替える時等便利なのですが、後から再生すると「ブチッ」と大きなノイズが入ってしまいます。
もう一つトラックNo.の入力モードを自動にしてもうまく入らないことです。入力レベルで微調整できるようですがうまくいきません。 従って片面25分のLPを録音する時放っておくと1トラック25分の巨大なファイルが出来てしまいます。これをパソコンで1曲ごとに分割しようとすると、ファイル分だけで250MB、編集やアプリケーション自身のメモリも考慮すると500MB以上の割り当てメモリが必要になってしまいます。
(私がメインマシンにたくさんメモリを積んでいるのもひとつにはそのためです。が一部には必要部分だけをメモリに読み込む方式で、それほど大容量メモリを必要としないソフトもあるようです。)
これを避けるにはヘッドホンでモニターしながら手動でトラックの入力をしなければなりません。
ちょっと面倒臭いです。

・番外編
どちらにしても最終的にパソコンで曲分割や曲間部分の除去をしなければなりません。(まあそのまま CD プレイヤーで聴く、というのもアリですけど・・・)
そう考えると録音そのものは、パソコンへの取り込みが容易・高速であり、16bit/44.1kHz(もしくはそれ以上)対応なら CDライター以外でも OK ということです。
最近出回っている EDIROL の R-1 とか M-AUDIO の MicroTrack 24/96 等の CF カードに録音するタイプのレコーダーでもお手軽でよいと思います。
長い接続ケーブルも不要です。
特に R-1 はサンプリング周波数が44.1kHz 固定なのでこの用途にぴったりですね。
MicroTrack 24/96 だと DVD オーディオにした方がよいでしょう。
そのうち出るでしょうけど、こういったポータブル録音機で 24bit/192kHz 録音対応、売価10万円以内でまともなものが発売されれば LP/EP の保存には DVD オーディオが主流になるかも?
据え置き型では既に TASCAM から DV-RA1000 という驚異的なコスト・パフォーマンス機が発売されていますし。

・まとめ
オーディオ用 CD ライターを使う場合レコードやカセット・テープの音を直接 CD に焼くことが出来ますので、針の上げ下げのノイズや曲間ノイズ等を気にしなければそのまま完成してしまいます。
細かいことを気にしない人、とにかく CD に焼ければそれでいい、という人にはうってつけの方法です。
きれいに仕上げたい人は、出来上がった CD をパソコンに取り込んで編集後焼き直します。
取り込み(リッピング)ソフトには Exact Audio Copy や CDex や CD2WAV を使用します。(Mac では iTunes が標準)
パソコン上で WAVE ファイルに変換したら、今度は音声編集ソフト(俗に波形エディタなどと呼ばれます)で余分な部分のカットや音質・音量の調整等を行います
WAVE ファイルを完成させたら、容量オーバーでないことを確認して再度 CD に焼いて完成です。
Windows XP ユーザーならフリーソフトの Windows Media Player で音楽 CD を焼くことができます



■パソコンを使用する方法


パソコンは録音機としても使用出来るので便利です。ただし、速くて容量の大きなハードディスクが必要です。

・推奨スペック(低スペックマシンで十分です)
CPU:AT互換機/500MHz以上、 Mac/PPC G3/400MHz以上
(もっと遅いCPUでも問題ありません。私自身はPowerPC 603e/100MHz、メモリ32MB のマシンで焼いたこともありますが、焼くことに関しては全く問題ありませんでした。今どき100MHz台のCPUをメインで使っている人はいないでしょうから、録音に関しても200MHz以上のマシンなら問題ないと思います。ただし編集作業は 400〜500MHz 以上の CPU があった方が楽です。)
メモリ:AT互換機/Win2000かXPで512MB以上、Mac/OS9.1で512MB以上、OS X なら1GB 以上
(もっと少ない容量でもできないことはないですが、多いに越したことはありません。必要メモリ量はOSによって変わります。XPなら多すぎるぐらいが丁度よいでしょう。Win9x系はおすすめしませんが、どうしてもと言うなら98SEがよいと思います。 古いアプリの資産があり、Windowsに詳しいなら95でもOKです。 )
ハードディスク:Ultra ATA66以上かRAID0で120GB以上のものが快適です

(もっと転送速度の遅いものでもできますが、空き容量だけは確保しておきましょう)
録音と CD 焼き作業はほとんどスペックを要求しませんが、編集作業は高スペックのマシンが有利です。
要は、CPUは遅くてもかまわないがメモリとHDDの容量が多めのマシンが望ましい、ということです。
ちなみに私は CPU/1GHz、メモリ/1.5GB、システムバス/50MHz の Mac を今でもメインに使ってますが、こんな時代遅れのパソコンでも快適に作業できています。

当たり前の事ですが、OSが安定していることが前提です。ふだんから「よくフリーズする」、「青画面に落ちる」といった人は、まず環境を安定させる必要があります。
よく分からない人は、必要なファイルのバックアップを取ってOSをクリーン・インストールするか、リカバリ・ディスクで購入時の状態に戻せばとりあえず安定するでしょう。

・長所
自分の思い通りのCDを作ることができます。細かい編集が可能で、凝ったものも作れます。
具体的には、自由自在な曲順、曲目が可能です。余分な部分をカットしたり、逆につなげたりすることもできます。音量を揃えたり、こもった音をはっきりさせたり、ノイズを除去したり、エフェクトをかけたりと音そのものを加工したCDを作れます。
パソコンの大きなディスプレイで作業がしやすい、ということもあります。

・短所
ある程度パソコンについて習熟している必要があります。
実際に焼くまでに手間がかかります。

・方法
まず流れを把握しておきましょう。

1. 録音
  →詳細
まず再生するオーディオ機器とパソコンを接続します。
音声取り込みソフトを立ち上げて、録音レベルの調整をします。
レベル・オーバーにならないよう気を付けながら、できるだけ大きなレベルになるようにします。
ハードディスクに十分な空き容量があることを確認し(16bit/44.1kHzの場合1分録音するのに約10MB消費します)、オーディオ機器の再生とタイミングを合わせて録音を開始します。
オーディオ機器にレコードやテープ等CD化したい音をハードディスク上に無圧縮ファイル(WINDOWSはWAVEファイル、MacはAIFFファイル)として保存します。
2. 編集・加工
  →詳細
保存した音声ファイルを編集・加工して各トラックを完成させます。(不要部分の切り取り、ノーマライズ処理、イコライジング、フェードイン/フェードアウト、ノイズ除去等)
3. CDに焼く
  →XP ユーザー
完成したトラック(WAVEファイルまたはAIFFファイル)を音楽CD形式(CD-DA)で焼いて完成です。
*注)Macの場合たいていSound Designer II形式やWAVE形式でも焼けます
元のWAVE(もしくはAIFF)ファイルもデータCDとしてバックアップしておくと完璧です。

ポイントはいかに完璧なWAVE(もしくはAIFF)ファイルを作るか、です。
WAVE(AIFF)ファイルさえ作ってしまえば、あとはただCD-Rで焼くだけですから。

・必要なもの
必要なものは以下のとおりです。
(再生するオーディオ機材や媒体は当然別途必要です!)

ンンンません。

→実際の接続についてはこちらをご覧下さい

→音楽CDを焼く方法はこちらをご覧下さい 

 

■私個人の方法


私は最初 TASCAM CD-RW700を併用していたのですが、2012年現在 DV-RA1000 をメインの録音機として使用しています。LP を CD 化、つまり 16bit/44.1kHz で記録するとよく分かるのですが、かなり音質が劣化します。個人的な憶測ですが、周波数帯域とサンプルレートには聴感上の相関関係があるように思います。シャノンの定理から当たり前じゃないかと思われるでしょうが、17kHz 以上の音は多くの人の耳には聴こえません。つまり 44.1kHz で十分なはずですが、実際に録音して聴いてみるとかなり違いが出ます。24bit/96kHz で録音すると再生音は元の音にかなり近付きます。LP は多くの場合 30 〜 35kHz ぐらいまでの音を(レベルは低いものの)含んでいますから、96kHz のサンプルレートで十分、192kHz ならオーバースペックということになります。たとえ耳に聴こえない周波数でもそれに合わせたサンプルレートだと聴感上において元音に近付くという事実は興味深いものです。昔 FM 放送を DAT で 16bit/48kHz にて録音した時、ほぼ元音の全てを記録できているように感じました。このこともそれを裏付けているように思えます。
また以前と違い安価でそこそこ高性能な DAC 製品が普及してきたことも大きいです。今や 24bit/192kHz を手軽に楽しめる時代になったのです。そうなると、せっかくの LP をわざわざ大きく劣化させて聴くのはバカバカしいです。無論アナログ音源を複製している時点である程度の劣化は避けられませんから、デジタル化自体が無意味だと思われる人も多いかと思います。でも PC 操作で手軽にレコード再生に近い音質を楽しめるということは非常に大きいです。いったんデータ化してしまえば何度でも楽しめますし、盤や針を傷めることもありません。

ビット数やサンプルレートが変わっても手順は同じです。DV-RA1000 でまず DVD を作成します。この際、媒体のクリーニング・レベル合わせはシビアにやっておきます。なるべく大きな音で録音するのがよいのですが、LP のマスタリングは瞬間的に大きなレベルが生じるようなものが多いので、少し低めに設定するのがコツです。
できあがった DVD を PCに持ってきて WAV ファイルをコピーします。
その WAV ファイルを Sound Forge で開いて、曲ごとの分割とプチプチノイズの除去を行います。
完成したら ASIO 対応ソフトで再生するだけです。
DAC はヘッドホン用には RME の 96/8 24 ADA カードか RATOC の RAL-24192UT1を、スピーカー用には ONKYO DAC-1000 を使用しています。

 

■仕上げのジャケット印刷


私自身は面倒臭いので毎回やる訳ではありませんが、完成した CD-R はそのままにしておくとどの CD に何が入っているのか分からなくなってしまいます。
やはりきれいにジャケットを作っておきたいものです。
手持ちの使い慣れたソフトでかまいませんが、個人的なおすすめは Adobe Illustrator です。

・用意するもの
パソコン(400MHz 以上の CPU と512MB 以上のメモリがあれば快適です)
スキャナ(私個人は EPSON の GT-9500 ART という年代物を使用しています)
カラー・プリンタ(私個人は EPSON のPM-2000C という年代物を使用しています)
画像処理ソフト(Adobe Photoshop があれば言うことなし)
レイアウト・ソフト(Adobe Illustrator があれば言うことなし)

まず、LP をスキャナで取り込みます。300〜360dpi の解像度にします。
具体的な方法はこちらをごらん下さい。
写真をきれいに印刷するコツは、高い解像度で作っておいて縮小して印刷することです。

ジャケット写真が出来上がったら、レイアウト・ソフト上に配置します。
あらかじめ CD ケースの大きさを定規で測っておき、レイアウト・ソフトで枠を作っておきます。
その枠に合わせてジャケットの画像を調整します。
あとは必要に応じて説明文を入力します。アナログ・レコードがソースであることを書いておくと分かりやすくてよいです。

←Olivia Newton-John の "Long Live Love"というアルバムの例
オリジナルにはない説明文を加えています。
これは Illustrator のデータを画像ファイルにしたものですが、実際の印刷もこのようにきれいにできます。
←実際には存在しないアルバムの例
Illustrator を使うとこのように本格的に仕上げられます。
これは Illustrator のデータを画像ファイルにしたものですが、実際の印刷もこのようにきれいにできます。

 



 

 

*****余談*****


MP3が一般化してからパソコンで音楽を聴いている方も多いことでしょう。時代は今や PC オーディオです。
じっくり聴かれる方におすすめしたいのは、「無圧縮でハードディスクに保存する」ことです。無圧縮とは、WIINDOWSユーザーならWAVE(.wav)ファイル、MacユーザーはAIFFファイルです。もちろんFLACも可です。
ハードディスクは今や 2TB 以上のものでも¥10,000以下で買えるのです!
仮に 2TB のものを買った場合、CD2,900枚以上の音源を倉庫代わりに置いておけるのです。
どうせ聴くなら少しでも良い音で楽しみましょう。
私は一度この快適さに慣れた後は、音楽鑑賞はパソコンが中心になってしまいました。いちいちディスクの入れ替えをしなくてよいので楽です。
2012年現在の主流は USB-DAC です。
オーディオ機器につなぐのと同様な音質がパソコンで実現できれば、CDを聴くのが趣味な人ならきっと病み付きになることでしょう。

私の場合このようにフォルダごとにまとめておき、聴きたい曲だけを Lilith もしくは Foobar2000 にドラッグ&ドロップして聴いています。アルバム通して聴きたい場合は m3u ファイルをドラッグ&ドロップします。
いちいちCDを探したり、出し入れしたりといった手間がかからず、 マウスの操作だけでササっと、とびっきり高音質の音楽が楽しめるので大変便利です。

 

■ハイレゾに意味はあるのか?
ハイレゾが叫ばれて久しいですが、いまだに否定論、不要論も根強いです。私個人はハイレゾに肯定的です。(但しアップサンプリングには否定的)
ハイレゾには違いが分かりやすい音源とそうでないものがありますし、機器によっても分かりやすさが異なります。
私自身は 16bit/44.1kHz(CD音質)→24bit/96kHz→24bit/192kHz と変えてきました。(もちろん今 CD を聴かない訳ではありません)
アナログ盤をデジタル化すると違いが分かりやすいです。16bit/44.1kHz と 24bit/96kHz でははっきりと違いが現れます。24bit/96kHz と 24bit/192kHz ではほんの少ししか違いが出ません。
しかしオーディオは気分も大事(笑)ですので、私は 24bit/192kHz を採用しています。これだと取りこぼしはほぼゼロなので。
ハイレゾ対応機器と言ってもスピーカーに注意するぐらいです。とは言っても高価なスピーカーを準備しなくてもハイレゾは楽しめます。
オーディオファンから笑われてしまいますが、ONKYO の2万円もしないアクティブ・スピーカーでもはっきり違いは分かります。
一方その10倍の価格のメインスピーカーでは違いは ONKYO の程ではありませんでした。機種にもよると思いますが、やはりハイレゾ対応と謳っているものに越したことはないようです。
いったんハイレゾの音に慣れてしまうと、CD の音が粗すぎて聴けなくなります。また多くの CD は過度なマスタリングが施されており、中高域が極端に持ち上げられ音圧が上げられて抑揚のない音になってしまっていることも分かります。
いずれにせよ PC で簡単に CD 以上の高音質が楽しめるようになり、素晴らしい時代になったものだと思いますです。
私個人は foobar2000 → 外部USB-DAC → アンプ → スピーカー という接続で聴いています。
今は71年のシングル盤を、次の瞬間にはLPを、そしてその次はCDを聴く、といった聴き方ができるので、もうPCオーディオはなくてはならないものです。


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