■DAT の終焉

最後の砦だった SONY の DAT レコーダー TCD-D100 が2005年12月初旬をもって出荷終了してしまった、というニュースは多くのオーディオ・ファンに衝撃を与えました。
とうとう来るべき時が来てしまったのです。

DAT は業務用途にも使われる程音質には定評があり、そこそこ信頼性もあったのに残念です。
登場時には大きな話題を集めながら、著作権団体の猛抵抗にあって結局民生機としては盛り上がらないまま終わってしまいました。
さて、問題はたくさんあるテープをどうバックアップしていくかです。

   

■DAT の複製先

16bit/44.1kHz で録音したものは TASCAM の CD-RW750 等で直接 CD-R にコピーすればよいのですが、問題は48kHz と 96kHz で録音したものです。
同様にオーディオ用 CD ライターで録音できるのですが、私の手持ちの CD-RW700 では96kHz →44.1kHz のサンプリング・レート・コンバーターを内蔵していないので RCA でアナログ入力するしかありませんし、対応している48kHz →44.1kHz にしても厳密には音は劣化してしまいます。
ただし、48kHz →44.1kHz では聴感上大きな変化はありませんけど。
やはり理想は記録してあるデータをそのままのフォーマットでデジタル・コピーすることです。
サンプリング周波数を落とすなんてのは、どう考えても邪道ですよね?
最終的に WAVE(もしくは AIFF)ファイルとして PC 上でデータ CD/DVD として焼くか、DVD オーディオ形式で焼くのが正解でしょう。

   

■ポータブルの録音機

そうなると、16/24bit で 44.1kHz 〜96kHz に対応したサウンド・カードを積んだパソコンで録音するのが王道でしょう。
しかし、私のようにデスクトップ機を使用しており、パソコンとオーディオ装置の距離が離れている場合は厄介です。
長いケーブルで接続しようかどうしようかと考えていると、ふとポータブルの録音機を使うことが頭に浮かびました。
最近買った MicroTrack 24/96(左写真)は16/24bit 44.1/48/96kHz に対応しているのです。
私は EDIROL の R-1 も持っているのですが、これは44.1kHz でしか録音できないので却下です。

   

■MicroTrack 24/96 の外観1

MicroTrack 24/96 は M-AUDIO が少し前に出したポータブル録音機で、左写真のように一見携帯電話のような外観をしています。
青いバックライトが美しいのですが、録音機の外観としては評判の悪い R-1 の方が私は好きです。

左写真を見ると液晶の下に縦長のボタンが4つあり、左から入力レベルのつまみ(Lch と Rch)、出力レベルのつまみ、録音ボタンとなっています。
液晶の右下の小さなボタンはファイル消去のボタンです。
録音ボタン以外は全く理解に苦しむ配置としか言い様がありません。
どうも使い勝手より見た目を優先して作られているようです。

   

■MicroTrack 24/96 の外観2

背面にはつまみの類は何もありません。
下の方に小さく
"Engineered in the U.S.A"
"Made in China"
とクレジットが入っています。
写真を見て分かるとおり、全体に丸みを帯びたデザインです。

   

■アバウトな設計1

向かって右側面に記録媒体であるコンパクト・フラッシュを差し込む挿入口があるのですが、何と蓋なしです。
ファンレスなので空気の流れはなく、高熱を持つ訳ではないのでその必要もないのですが、ヘビー・スモーカーの私には気になるところです。

   

■MicroTrack 24/96 の外観3

左側面には液晶に表示されるメニュー表示ボタン、ホールド・スイッチ、マイクの感度切り替えスイッチ、ファンタム電源スイッチがあります。

   

■MicroTrack 24/96 の外観4

上側面にはフォーン・ジャックが大小4つ並んでいます。
左からマイク用のステレオ・ミニジャック、ライン/マイク兼用の標準ジャック、一番右がヘッドフォン用のステレオ・ミニジャックです。
ここも見た目重視で配置していることがよく分かります。
ヘッドフォン・ジャックは別の側面に付けるべきでしょう。

   

■アバウトな設計2

下側面には RCA ジャックと USB 端子があります。
左から RCA  出力ジャックとデジタルの同軸入力、右上が USB です。
S/P DIF と USB は距離が近すぎて干渉してしまい同時に使えない、という驚くべき糞設計です。(干渉しないコネクタもあるかも知れないけど...)
また RCA 出力は全く不要で、むしろ必要なのは RCA 入力の方です。
設計者は一体何を考えているのでしょうか?

   

■媒体は CF カードが最適

DAT は16bit で44.1kHz/48kHz/96kHz ですから MicroTrack 24/96 を使えばデジタル・コピーが可能です。
媒体は容量を最重視すれば6GB のマイクロドライブでしょうが、駆動音が入ってしまうとの報告があるので、現時点では4GB の CF カードが最適でしょう。
私は Transcend の TS4GCF45 という4GB のものを買いました。(メーカー検証済なので安心)
約3万円の出費は痛いですが、これで MicroTrack の性能をほぼフルに発揮できるようになった訳です。
デジカメでもそうですが、購入時に付属している小容量のメディアは結局無駄になってしまいます。
簡易チェックマシンを開発して、不良品以外は店頭にて数千円バックというふうにしてくれないでしょうかねぇ。
で動作確認用の初期付属品としてメーカーもしくは販売店が中古を使い回す、と。
ユーザーの暗黙の了解があれば全く問題のない、無駄のない方法だと思うのですが。
64MB というとフロッピーの約45倍ですから結局使われないのではもったいない話です。

   

■操作は簡単

ポータブル録音機と言うものは、本当は極力スイッチ操作のみにするのが正解だと思います。
量子化ビット数やサンプリング周波数、録音レベル、再生・録音・停止等はスイッチで切り替え、LED のピーク・メーターを付けるのが本筋でしょう。
だからこの MicroTrack のようにコンピュータ・ライクな操作性は最初好きになれなかったのですが、慣れるとまあこれでもいいかな?って気もします。
液晶に表示される項目の数が所詮限られているので、操作は意外に簡単。
複雑さ・難解さはありません。

   

■実際にコピーしてみる

PIONEER の D-06 という据え置き型の DAT デッキと同軸ケーブルで接続して実際にコピーしてみたところ、44.1kHz/48kHz では全く問題なかったものの、96kHz では何故か48kHz になってしまう場合がありました。
D-06 の問題なのか、MicroTrack の問題なのかちょっと分かりませんが、う〜ん困った。
MicroTrack は[REC]ボタンを押してから実際の録音に入るまでに少しタイムラグがあるように感じられるので、テープを開始する前に録音を開始したのですが、これが原因かも知れません。(録音開始時点で入力がない、もしくは48kHz だとその後入力のクロックが96kHz になってもそのまま48kHz で録音し続けるのでは?とふと思った >未確認)
何ででしょうね?
録音自体は、[Main Menu]から[Record Settings]を選択して各項目を設定し、ケーブルをつないで右下の赤い[REC]ボタンを押すだけです。
デジタルコピーなので入力レベルは関係ありません。
なお、巷で言われているとおり動作に不安定な所があり(@Firmware 1.2.3)、入力の LED やレベルメーターが動かないとか DELETE ボタンでハングアップしてしまう、といったトラブルがありました。
まあ、自室で DAT のバックアップ等に使う分にはどうにか使える、といったレベルで屋外での大切な録音にはちょっと恐くて使えない気もします。

   

※ドライブ・レターは環境によって異なります

■パソコンへの取り込み

パソコンへの取り込みは、EDIROL R-1 と同様 USB 経由で可能です。
USB ケーブルでつないで MicroTrack のメニューから[System]-[Connect to PC]を選んで[NAVホイール]を押し、[マイ コンピュータ]を開けばリムーバブル・ドライブとして認識されます。
ところがそのドライブのアイコンをダブルクリックして開くのに少し時間がかかります。(Win2000 SP4 で確認)
開けばあとは通常のファイル操作と同様右クリック+コピーで適当な複製先にコピーします。
一応 USB2.0 で転送されるようですが、転送速度は遅いです。
Win2000 SP4 では大体1.3MB/秒ぐらいで、ちょうど SCSI-1 のハードディスクぐらいの速度です。(遅さの原因はコンパクト・フラッシュ)
それでも DAT で等速でコピーした場合の14%弱ですから、やはりありがたい機能です。
個人的に USB ってあまり好きな規格ではなかったのですが、電源入れたまま気軽にケーブルの抜き差しができるっていうのは便利だ、とあらためて思いました。

   

■外部バッテリー

Apple 社の iPod や SONY の PSP の普及のおかげで最近は USB 経由の外部バッテリーが簡単に入手できます。
乾電池の使えないこの MicroTrack にとって、屋外で使用するにはやはり外部バッテリーがあると心強いです。
私が買ったのは DIATEC が FILCO というブランドで出している PowerBank slim for PSP (FPS220U) という機種で、名前のとおり PSP 用の外部バッテリーですが、問題なく使えます。

   
 

■結論

MicroTrack 24/96 は DAT のバックアップに使えます(ただし、PC へ移す手段として)が、どちらにしても PC 上で編集や再生、DVD 等への書き込みを行わなければならないので、最初から PC とオーディオ・カードを接続して録音する方がよいです。

ただし、PC とオーディオ機器の場所が離れていて接続が困難な場合は検討に値する、と思います。

 

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