ピーター・ジャイルズのサイト 

 

 

 

ジャイルズ・ジャイルズ&フリップは、あのキング・クリムゾンの前身のバンドです。
多くの人に指摘されているとおり、キング・クリムゾンの存在がなければこのジャイルズ・ジャイルズ&フリップというユニットが光を浴びることは決してなかったでしょう。
しかし、一方で彼らの音楽は一般の評価である「凡庸で退屈」で片付けられるには惜しいものがあると思います。
確かに物凄い傑作は作れなかったかも知れませんが、よく聴き込めば美しいメロディーや熟練した演奏を楽しめますし、ジャイルズ兄弟(特にマイケルの)素晴らしいボーカルを堪能できます。
クリムゾンなしでもっと評価されてもいいように思います。

 

Giles, Giles & Fripp の歴史
日付
出来事
1960年1月29日 Michael Giles と Peter Giles が Johnny King and the Raiders に加入
Johnny King/Vocal、 Graham Douglas/Guitar、 Roger Collis/Guitar、 Michael Giles/Drums、 Peter Giles/Bass
1961年x月 Robert Fripp が The Ravens を結成
Robert Fripp/Lead Guitar、Gordon Haskell/Bass、Tino Licinio/Lead vocal & Rhythm guitar、Graham Wale/Drums
ドラマーは Christopher Ferguson に交代した
ベースは当時の親友だった Gordon に Fripp 自身が手ほどきした
1961年8月27日 Giles 兄弟が Johnny King and the Raiders を脱退
1961年8月28日 Giles 兄弟が Dave Anthony and the Rebels に加入
Michael Giles/Drums、 Peter Giles/bass、 Al Kirtley/Guitar、 Tony Head/Vocal
このバンドは元々 The Furies という名前でリード・ギタリストの Jeff がリーダーだったが、Al Kirtley 加入後 Jeff が脱退し、その後まもなくボーカルの Les Fisher も抜けた。
代わりに加入したのがボーカルの Tony Head で、バンド名を Tony and the Ramrods に変更した。
Tony Head/Vocal、Al Kirtley/Guitar、Howard "Eddie" Parsons/Drums、John "Jet" Berryman/Bass
まもなくしてバンド名は Dave Anthony and the Ravers に変更された
その後リズム部隊の Jet と Eddie が抜けて Giles 兄弟が加入し、バンド名は再び Dave Anthony and the Rebels に変更された
1961年11月4日 Giles 兄弟が The Dowland Brothers and the Soundtracks に加入
Dave Dowland/Vocal、Gordon Dowland/Vocal、Michael Giles/Drums、Peter Giles/Bass、Alan Barry/Guitar、Roy Philips、Mike Picket
1961年11月11日 Giles 兄弟が Dave Anthony and the Rebels を脱退
1962年春 Fripp が The Ravens を脱退
1962年8月 The Dowlands and the Soundtracks が OLOLE からシングル "Little Sue" b/w "Julie"をリリース
1962年12月 The Dowlands and the Soundtracks が OLOLE からシングル "Big Big Fella" b/w "Don't Ever Change"をリリース
1963年x月 Fripp は The Douglas Ward Trio と共にチュートン・グレン・ホテルでギターを演奏
他にも同様なダンスバンドでの仕事を地元のホテルで兼任する(1964年まで続けた)
1963年4月 The Dowlands and the Soundtracks が OLOLE からシングル "Break Ups" b/w "A Love Like Ours"をリリース
1963年9月14日 Giles 兄弟が The Dowland Brothers and the Soundtracks を脱退
1963年9月27日 Giles 兄弟が The Sands Combo に加入
Graham Douglas、 Roger Bone、 Dave Anthony/Vocal、 Pat Sheehan/Drums、 Nigel Street/Sax、 Al Kirtley/Piano
1963年11月12日 Giles 兄弟が The Sands Combo を脱退
1963年11月16日 Giles 兄弟が The Interns に加入
Peter Giles/Bass、Roger Collis/Guitar、Michael Giles/Drums
1963年12月4日 Giles 兄弟が The Interns を脱退
1964年1月8日 Giles 兄弟が Trendsetters Ltd. に加入
Nigel Street/Sax、 Al Kirtley/Piano 、Michael Giles/Drums、 Peter Giles/bass、Michael Blakesley/trombone
1964年春 Fripp はダンスバンドでの仕事を続けながら The League of Gentlemen を結成
Robert Fripp/Lead guitar、Gordon Haskell/Bass guitar & Support vocal、Tino Licinio/Rhythm guitar & Support vocal、Stan Levy/Drums、Reg Matthews/Lead vocal
1964年3月26日 Trendsetters Ltd. が最初のシングル "In a Big Way/Lucky Date" を Parlophone からリリース
1964年4月 Giles 兄弟はプロに転向する( Trendsetters Ltd. に在籍中)
1964年7月 Trendsetters Ltd. が2枚目のシングル "Hello Josephine/Move On Over" を Parlophone からリリース
1965年8月13日 The League of Gentlemen がシングル盤 "Each Little Falling Star/And I Do Now" (Columbia DB-7666) をリリース
※これに Fripp と Haskell が参加しているかについては諸説があり、そもそも同名の別バンドという説もある
1965年8月27日 Trendsetters Ltd. が4枚目のシングル "I'm Coming Home/You Sure Got A Funny Way Of Showing Your Love " を Parlophone からリリース
1965年9月頃

Fripp は LOG を脱退した少し後にマジェスティック・ホテルのダンスバンドである The Majestic Dance Orchestra でギターを弾くよう要請される(前任の Andy Summers が Zoot Money と共にロンドンへ引っ越してしまったため)

1965年11月
Michael Giles が "One In A Million" を作曲・作詞
1966年2月
The League of Gentlemen がシングル盤 "How Can You Tell/How Do They Know" (Planet PLF-109) をリリース
※これに Fripp と Haskell が参加しているかについては諸説があり、そもそも同名の別バンドという説もある
また "How Do They Know" にはサックスのソロが、"How Can You Tell" にはブラス(ストリングス?)が入っていることも疑惑に拍車をかけている
1966年10月
Michael Giles が "The crukster" を作曲・作詞
1966年12月 The Trend として Page One Records からシングル"Boyfriends And Girlfriends" b/w "Shot On Sight"をリリース
1966年12月-1月?

ギタリスト兼リードボーカルの Bruce Turner が脱退
残った4人のメンバーはグループ名を The Brain と改名する
Michael Giles/drums, vocals、 Peter Giles/bass, vocals、Allan Azern/piano, vocals、Michael Blakesley/trombone, vocals

1967年3月8日

The Brain が EMI の De Lane Lea スタジオで録音

1967年3月14日 同上
1967年3月
Michael Giles が "How Do They Know " を作曲・作詞
Michael Giles が "JUST GEORGE" を作詞
1967年4月
Michael Giles が "The Sun Is Shining" を作曲・作詞
Robert Fripp が "Little Children" を作曲・作詞
1967年5月
THE BRAINとして"Kick The Donkey"/"Nightmares In Red" 7インチシングルを発表
1967年5月16日
Fripp がプロ転向を決意
1967年6月1日 The Brain が EMI の De Lane Lea スタジオで録音
1967年6月
Peter Giles が "Digging My Lawn" を作曲・作詞
Michael Giles が "Thursday Morning" 、"Elephant Song" を作曲・作詞
1967年7月
Peter Giles が "North Meadow" を作曲・作詞
1967年8月5日 Giles 兄弟が The Brain(旧 Trendsetters Ltd. )を解散
1967年8月28日
Robert Fripp がボーンマスのビーコン・ロイヤル・ホテルにてGiles 兄弟のオーディションを受ける
1967年9月19日
Peter Giles が the Dowland Brothers から Revox F36(テープ・レコーダー)を購入
1967年9月19日〜

ビーコン・ロイヤル・ホテルの地下室で Revox F36 を使って録音開始
"Metaphormosis"の"Hypocrite"はこの頃録音された

1967年9月末頃
3人でロンドンに引っ越す
1967年10月
Robert Fripp が "THE SAGA OF RODNEY TOADY " を作詞
1967年10月16日
93A Brondesbury Road NW6 のアパートに引っ越す
1967年10月17日
ソーホー地区フリス通りのラ・ドルチェ・ヴィタというレストランで Doug Ward というアコーディオン奏者と4人編成でライブ演奏を始めるが、 Doug Ward はまもなく運転トラブルで暴行を受け入院してしまい、その後ソーホー地区の姉妹店ラ・ドルチェ・ノットでモレーノという名のイタリア人歌手兼ギタリストのバックを11月4日まで務める。
1967年11月
Peter Giles が Brondesbury Road のアパートの広い居間を間に合わせの録音スタジオに改造
1968年2月
Peter Giles が "Newly-Weds" を作曲・作詞
Robert Fripp が "Erudite Eyes" を作曲・作詞
1968年2月14日
デッカレコードとレコーディング契約を結ぶ
1968年2月26日
デッカレコードのNo.2 スタジオでアルバムの録音を開始(5月18日までの4日間)
1968年3月
Peter Giles が "Call Tomorrow" を作曲・作詞
Robert Fripp が "Suite No.1" を作曲・作詞
1968年5月10日

"One In A Million"/"Newly-Weds"(Deram/DM 188)がシングルカットされる(Peter Gilesの主張)

1968年5月28日 "One In A Million"/"Newly-Weds"(Deram/DM 188)がシングルカットされる(デモ盤の記載
1968年6月7日
Judy Dyble と Ian McDonald が加入(6月1日付メロディーメイカー紙のメンバー募集広告を見て Peter が電話をかけ、当時 Judy と付き合っていた Ian とともに知り合いになる)
1968年6月28日 "One In A Million"/"Newly-Weds"(Deram/DM 188)がシングルカットされる(Robert Fripp の主張)
1968年夏

Judy Dybleと Ian McDonald が "I Talk To The Wind"、"Murder"、"Make It Today" の3曲を録音。
"I Talk To The Wind" は6月の録音で、後に King Crimson の "Young Person's Guide" に収録される。

1968年7月初頭
Judy Dyble が離脱、Ian が Peter Sinfield を紹介する(Sinfield は Ian の曲作りのパートナー)
1968年7月6日
デッカの West Hampstead-located Studio I で次のシングル用に "Thursday Morning" のリミックス作業(Ian がボーカルとクラリネットをダビング)
1968年9月6日
アルバム"The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp"(Deram/DML 1022 [mono] | SML 1022 [stereo]) 発売(Metaphormosis 記載)
1968年9月12日
BBC ラジオの "My Kind Of Folk" という番組で Al Stewart のバックを務める(トリオで出演)
1968年9月13日 アルバム"The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp"(Deram/DML 1022 [mono] | SML 1022 [stereo]) 発売(Robert Fripp の主張)
1968年9月26日
アルバム"The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp"(Deram/DML 1022 [mono] | SML 1022 [stereo]) 発売(The Brondesbury Tapes 記載)
1968年10月11日
"Thursday Morning"/"Elephant Song "(Deram/DM 210)がシングルカットされる
ただし "Thursday Morning" はイアンのクラリネットとボーカルがオーバーダビングされたもの
1968年10月17日 Eamonn Andrews T. V. Show で "The Elephant Song" のライブを演奏
1968年10月28日
デッカのスタジオで "Why Don't You Just Drop In?", "She's Loaded", "Under The Sky" の3曲を録音
1968年10月29日
同上
1968年10月31日
〜11月2日
ダンロップ・タイヤのCM撮影のためロス・オン・ワイへ4人で出かける。
(後にMichael Giles と結婚する女優の Mary Land も同行)
1968年11月15日
Deram への契約上の義務が完了し、Michael Giles と Robert Fripp の間で次のバンドであるKING CRIMSON の結成について話し合いがもたれる
1968年11月16日
BBC の TV 番組 "Colour Me Pop" の撮影(バッキングトラックは Brondesbury Road のアパートで古いRevox を使って録音された)
Michael Giles によると "Erudite Eyes" のコーダ部分を即興で演ったとのこと
番組での演奏曲目は "Elephant Song", "Thursday Morning", "Newly Weds", "Digging My Lawn", Erudite Eyes", Make It Today", "Why Don't You Just Drop In", "She Is Loadsd" の8曲で基本的に口パク
1968年11月30日
BBC の TV 番組 "Colour Me Pop" の放映
1968年12月
Peter Giles が脱退(8年間に渡るツアーに明け暮れた生活と結局それがいかなる成功にも結びつかなかったことからこれまでの生活に大きく幻滅し、バンド内で反抗的になっていた。
Michael によるとたまたまあるビジネスマンの新しいグループへの投資話に Michael と Fripp が興味を持った時 Peter が猛反対して脱退した。
Ianによるとやはり直接のきっかけは Greg の加入が原因で脱退したとのこと。)

 

 

GGF から King Crimson へ

Giles, Giles & Fripp の紹介で必ず言われるのはキング・クリムゾンとの音楽性の乖離、アルバムがつまらないこと(私はそうは思いませんが・・・)、フリップ参加の奇妙な経緯です。
フリップ参加の経緯は有名ですが一応紹介しておきます。
1967年8月初頭に The Brain(旧 Trendsetters Ltd.)が解散状態となり、兄弟はそれまでのライブ活動中心の生活を改めて曲作りに専念しようと考えていました。地方でライブ活動を続けていても富も名声も得られないことがはっきりしたからです。そこでそれまでやっていた The Brain に見切りを付け、上手に歌えるキーボード奏者を新たに探すことにしたのです。
メンバー募集の広告を出して何人かをオーディションしましたが、これという適任者に出会えずに数週間が経過しました。そんな時ロバート・フリップから「キーボードも弾けないし歌も歌えない。でもギターなら弾ける。」という電話がかかってきました。それが非常に印象に残り、また電話での会話も波長が合ったように感じられたので、兄弟は取りあえずフリップに会ってみることにしました。
ボーンマスのロイヤル・ビーコン・ホテルで1967年8月28日にオーディションは行われました。実際に会ってみるとフリップは確かに歌えないしキーボードも弾けませんでしたが、一方で彼はひょうきん者でありギターのプレイも独創的だったので兄弟はもうキーボード奏者は要らないと感じたのです。そのように波長が合ったことに加えて、フリップのロンドンの知り合い(ドウグ・ワード)がソーホーのレストランでの演奏職のコネを持っていたことも大きかったと思われます。
その後ソーホーのギグに備えてロイヤル・ビーコン・ホテルでリハーサルを繰り返しながら9月にはダウランド兄弟から中古の Revox F36 を購入して録音技術も磨き上げていきます。ロンドンに引っ越した後は頼みのドウグ・ワードが暴漢に襲われたため3人とも失職したりして大変だったようですが、何だかんだでデッカの関係者に認められアルバム発売の契約にこぎつけます。
その後シングル、アルバム共に発売されてデッカも必死にプロモートするのですが、結果的には全く売れませんでした。そうした中で元フェアポート・コンベンションのジュディー・ダイブルの出したメンバー募集広告にピーターが電話をかけ、当時ジュディーと付き合っていたイアン・マクドナルドが彼女と共にやってきます。ジュディーはすぐに離れていきましたが、イアンは3人にとって重要なパートナーとなりました。イアンはプロとしての経験もなく全くの無名な存在でしたが、管楽器、ギター、キーボードを巧みに演奏でき、誰もが認める作曲能力を持っていました。
Cheerful Insanity の制作時には実績のあるジャイルズ兄弟の発言権が強くフリップはやや従属的な立場でしたが、アルバム・シングル共に商業的に失敗したことを受けフリップの発言力が兄弟と完全に対等になっていきました。本来なら全く世間から注目されないバンドは解散するのが自然な流れですが、イアンとのセッションでフリップもマイクも新たな可能性をひしひしと感じていました。
フリップの計算高さ、冷徹さが発揮されたのがこの時で、彼は前回の失敗から強力なフロントマンの必要性を痛感していました。実力とルックスを兼ね備えたボーカリストが必要だったのですが、フリップにはグレッグ・レイクこそが適任者だと思え、そのことを強く主張しました。グレッグはボーカル以外に楽器を弾くことも希望したのでピーターの立場が微妙になってきたのですが、フリップはためらうことなくピーターに脱退を勧告したのです。ピーターは自尊心の高い男であり、またその当時長年続けてきて実を結ばなかったミュージシャン生活に幻滅を感じていたので、結果的にゴタゴタを起こさず自分から身を引いたのです。
「陽気な錯乱」と「宮殿」の間に大きな音楽的乖離があることは広く知られていて、それに対する回答としてピーターが「メタフォーモシス」や「ブロンズベリー・テープス」を出した訳ですが、それでもまだ音楽的乖離がかなりあります。そのギャップが実はグレッグ・レイクだったのであり、また彼が加入しピーターが抜けたことによるメンバー間の化学作用の変化だったのだと思います。

マイケル・ジャイルズはクリムゾンの歴代ドラマーの中でも比較的高く評価されています。確かに初期クリムゾンでの彼のプレイは独創的であり、あの独特な硬い音のチューニングと共にとても印象に残るものです。しかし彼は作曲家とボーカリストという別の側面も持っていました。
正直な所、作曲家としての技量はそれ程高いとは思えませんが、ボーカリストとしてはかなりものだったと思います。何よりも声質がよく、ビブラートのテクニックも十分なものでした。担当楽器がドラムスという性格上ボーカルにはそれ程力を入れなかったようですが、彼の美しいボーカルはもっと評価されてもよいように思います。

弟のピーター・ジャイルズもベースのプレイは比較的高く評価されています。ただ後に加入するジョン・ウェットンのベースが凄すぎて、ピーターを含めた何人かのベーシストが霞んでしまった感があります。。ピーターは兄のマイケルと逆にボーカルは今一つでしたが、作曲能力にとても光るものがありました。これは個人的な推測ですが、何でも器用にこなしてしまう「出来る兄」に対するコンプレックスのようなものがピーターにはあったのかも知れません。マイケルの健康的な曲に対し、ピーターの作曲にはしばしば狂気が見え隠れしているように感じられます。特に "Murder" などはクリムゾンで取り上げても違和感がなかったのではないかと思いますね。

 

 

ディスコグラフィー
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:1979年
■媒体:LP (KING RECORD K16P-9081)
1968年にリリースされたジャイルズ、ジャイルズ&フリップのスタジオ・アルバムです。
オリジナルの英国 DERAM 盤はモノラルとステレオの2種類が発売され、それ以外に後年再発されたリイシュー盤が何種類かあります。
発表時は全く売れなかったアルバムなので、オリジナル DERAM の 1st プレスの状態の良いものを入手するのは至難の業ではないでしょうか?
私が所有しているのは1976年にキング・レコードから再発された「ブリティッシュロック名盤 1600 - プログレッシヴ・ロック編」シリーズのものですが、音質的には悪くないように思えます。
キング・レコードからは1972年にDL 31が、1976年にSL 287が出ていますので、私のK16P-9081は3度目のリリースのようですね。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:1989年11月1日
■媒体:CD (POLYDOR P25L 25052)
1989年に初めて CD 化されたジャイルズ、ジャイルズ&フリップのスタジオ・アルバムです。
収録曲はオリジナル・アルバムと全く同一で音質的にも LP に近いマスタリングとなっています。
CD は低域〜中域(11kHz 以下)をほんの少し下げて、代わりに 11kHz 〜 17kHz の中高域を少しブーストしています。
目立つ部分をイコライジングして音質がアップしたように見せ掛けている訳です。
逆に聴こえにくい 17kHz 以上は大きく抑えてしまい、20kHz を少し越えたところでバッサリ切ってしまっています。
聴感上はややこじんまりした音で、クリアですが少し迫力に欠ける音です。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:1992年
■媒体:CD (DERAM 820 965-2) US盤
1992年に再発されたジャイルズ、ジャイルズ&フリップのスタジオ・アルバムです。ヨーロッパでも同様のCDがリリースされました。
ボーナストラックが6曲追加されていて貴重なリリースとなっています。
追加されたのは "She Is Loaded"、"Under The Sky"、"One In A Million - Mono Single Version"、"Newly Weds - Mono Single Version"、"Thursday Morning - Mono Single Version"、"Thursday Morning - Stereo Single Version" です。
音質的には89年の CD よりほんの少しだけ高域をアップさせた感じで、大きな変化はありません。音質・音圧・選曲ともにこのCDがベストでしょう。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2001年6月13日
■媒体:CD (Universal / UICY-9062)
2001年に日本で再発された紙ジャケ盤で、ユニバーサル・ミュージックの鈴木ユメトキ氏によるリマスターが施されています。LPの音に慣れた耳にはやや違和感のある音で、音圧も上げられています。周波数域も 11kHz 〜 18kHz がブーストされています。音作りは時代によって流行があり仕方がないことですが、個人的には前の音の方が自然だったと思います。
92年CDと同様ボーナストラックが6曲追加されています。このリリース以降日本盤CDは全て6曲のボートラ付きのリリースとなります。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2008年3月24日
■媒体:CD (ESOTERIC ECLEC 2049) UK盤
92年のCDの続編でほんの少し音圧が上げられていますが、日本盤リマスターのように極端な音になっていないのはさすがですね。ヒスも少なくよいリマスターだと思います。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2010年11月24日
■媒体:CD (Universal UICY-20050)
9年半ぶりに再発された Cheerful Insanity で、日本では3度目のCDです。
全体に大きく音圧が上がりちょっと極端な音になっています。
LP と比べても大きく音圧が上がっており、周波数域も 11kHz 〜 18kHz がブーストされています。
音作りは時代によって流行があり仕方がないことですが、個人的には前の音の方が自然だったと思います。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2013年6月26日
■媒体:CD (Universal UICY-75649)
2013年に再発された紙ジャケ版で、日本では4度目のCDです。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2013年9月17日
■媒体:LP (Cherry Red Records CRP203)
2013年に再発されたUK盤LPです。
ボーナストラックが2曲追加されています。("She Is Loaded" と "Under The Sky")
UK盤なのでひょっとしたらオリジナル・マスター使用か?と期待を抱かせますが、何せ1968年の録音ですからCD用のマスター使用かも知れません。
ジャケットの右上から初めて DERAM の文字が消えました。
The Cheeful Insanity of Giles Giles & Fripp / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2021年4月28日
■媒体:CD (Universal UICY-79451)
日本では6度目のCDです。(2016年1月20日に輸入盤CDにオビをつけたものが発売された)
Amazonで1,000円を切る価格で販売されました。
Metaphormosis / Giles, Giles & Fripp
■リリース:2001年
■媒体:LP (TENTH PLANET TP049)
2001年に突如リリースされたアウトテイク集です。
1,000枚限定プレスの LP で通常より重い盤になっています。
Brondesbury Tapes/ Giles > Giles > Fripp
■リリース:2001年
■媒体:CD (VOICEPRINT VP235CD)
LP だけで CD は出ないのか?と思っていたら呆気無く発売された CD 版です。
しかし収録内容が LP と微妙に異なっており、曲数も増えています。
Syde Tryps Seven/ Various Artists
■リリース:2001年
■媒体:LP (TENTH PLANET TP 052)
これまた2001年にリリースされたウルトラマニアックな1,000枚限定の LP です。
しかし何で LP なんでしょうね?
ふつうに CD でリリースすればいいのに・・・
本作の目玉は何と言っても THE BRAIN の未発表音源でしょう。
"Nobody Knows The Game"、"Shot On Sight"、"One In A Million"、"Murder"、"Most Likely You Go Your Way And I'll Go Mine" の5曲が収録されています。
1962 > 1967/The Giles Brothers
■リリース:2009年
■媒体:CD (VOICEPRINT VP500CD)
ジャイルズ兄弟の GGF 以前の音源を集めたもので、The Dowland Brothers & The Soundtracks が6曲、Trendsetters Ltd. が10曲、The Trend が2曲、The Brain が6曲、合計24曲の収録となっています。
印刷された曲順表記が誤っていたことでも話題になりました。
音質がブートレッグ以下で完全にマニア向きアイテムとなっています。
Young Person's Guide To King Crimson/King Crimson
■リリース:1976年
■媒体:LP (POLYDOR 35MM 0270/1)
カタログ落ちしてしまったクリムゾンの最初のベスト盤。当時アルバム未収録曲だった "Groon" と Judy Dyble ボーカルの "I Talk To The Wind" が含まれていることで話題となりました。
"Groon" は元々 "Cat Food" んおシングル B 面に収められていた曲で、名義こそキング・クリムゾンですが演奏は Giles, Giles & Fripp の3人ですし、"I Talk To The Wind" は完全に GGF +イアン&ジュディーです。
音質的に「宮殿」収録曲は音質が大幅ダウン、"Ladies of The Road" は何故か音質アップ、「レッド」収録曲はほぼ同等、「戦慄」収録曲は少しダウン、「暗黒」収録曲はほんの少しダウンしていて、1st アルバムの音質劣化が目立ちます。
Young Person's Guide To King Crimson/King Crimson
■リリース:1990年
■媒体:CD (Virgin VJCP-3001, 3002)
上記の CD 版で、当時世界初 CD 化されたにもかかわらずすぐ廃盤になってしまいました。
音質は基本的に LP とよく似ていますが、LP の場合当然使用するカートリッジ等で大きく変化します。
うちの環境(国産の普及品)では CD の方が軽く薄い音の傾向にあるように感じます。
"Groon" では 19.6kHz 付近でバッサリ切られ、"I Talk To The Wind" では 11kHz 〜 16.5kHz まで若干ブーストされそれ以上の高域は大きく下げられています。
CD は 20.5kHz 付近でカットされており、21kHz 付近に山のある LP とは大きく異なっているので、Judy Dyble の歌う "I Talk To The Wind" に関しては Young Person's Guide の LP が一番高音質ということになります。(音源はフリップ所有のテープ)この曲は "Metaphormosis" や "Brondesbury Tapes" にも全く同じものが収録されました(音源はピーター所有のテープ)が、テープが大きく劣化してしまって苦しい音質になってしまっています。
The Essential King Crimson - Frame by Frame/King Crimson
■リリース:1991年
■媒体:CD (Virgin VJCP-36023)
数年前に初 CD 化されたクリムゾンのアルバムの音質が悪いというクレームが出て、フリップはトニー・アーノルドと共に The Definitive Edition と銘打ったリマスタリングを行ってリリースし直したのですが、その頃発売された4枚組 CD ボックスセットがこれです。 一聴してすぐに分かる程音質が改善されていますが、フリップによるとこの時点でもスタジオ・アルバムについては音源にオリジナル・マスターが使われていないとのこと。
この4枚組 CD に Groon が収録されていますが、Young Person's Guide に収録されていたものとは比較にならないぐらい素晴らしい音質になっています。
Groon はその後も99年に30周年記念盤用にリマスタリングされ2010年現在もポセイドンのボーナス・トラックとして収録されています。また2004年の 21st Century Guide に収録されたものは新たにリマスタリングし直されています。
30周年のものは Essential より少し高域を抑えており、 Essential と2004年版はほとんど判別不能な程似通っています。
McDonald And Giles/McDonald And Giles
■リリース:1970年
■媒体:LP (ATLANTIC P-8034A)
直接 GGF とは関係ありませんが、Giles 兄弟と Ian McDonald がクリムゾン脱退後に製作したアルバムであり、音楽的な関連は多少あるものと思われるので取り上げました。(オリジナルは ISLAND ILPS.9126 )
ジャケットに Michael と Ian がそれぞれ自分の女性と寄り添った紫色がかった写真が使われていますが、何故か弟の Peter は蚊屋の外・・・
音楽的には Ian の全盛期の作曲が多数含まれており一般の評価も高いのですが、どことなく盛り上がりに欠けると言うか寂しい音になっています。要は Giles 兄弟も Ian も裏方タイプの人たちだったのであり、華がないんですよね。このユニットに欠けていたのは強力なフロントマンであり、やはりこれ1枚で消滅してしまいました。Ian のボーカルは声質こそよいものの力強さと技量に欠けています。
よく言われるようにこのアルバムはクリムゾンとは音楽的な繋がりが薄く、むしろビートルズの影響が随所に見られます。私的には Peter のベースを堪能できる点が印象的です。
McDonald And Giles/McDonald And Giles
■リリース:1989年7月
■媒体:CD (ATLANTIC 18P2-2852)

上記の CD 版で、英語版の Wiki には「オリジナル・マスターから何世代も後のテープが元になっている」と記述されていますが、聴いた限りではそれ程酷い音ではないように思います。
15kHz までが若干ブーストされそれ以上は大きく落とされており、18kHz 以上はほぼカットされていますが、聴感上ではそこそこクリアな音です。
"Suite in C" の2分24〜25秒と6分52秒にマスターに起因する音揺れがあります。前者は上記の日本盤 LP と下のリマスター CD にもあり、後者はリマスター CD にはありません。

McDonald And Giles/McDonald And Giles
■リリース:2002年8月
■媒体:CD (Virgin CDV2963)
リマスターされた CD で HDCD 仕様です。
ジャケットのタイトル文字が紫色から緑色に変更されています。
期待の音質は・・・あまり変わらないような・・・
Suite in C の冒頭で 'Some pussy on her knee' の下線部分が何故か差し換えられています。
恐らく音質的には ISLAND の 1st プレス LP が最高でしょう。
しかしせっかくオリジナル・マスターを使用したのに何故変更を加えてしまったのでしょうか?上記日本版 CD の価値がかえって上がってしまったような気がします。
A Weird Person's Guide To King Crimson/King Crimson
■リリース:1994年
■媒体:CD (Invasion Unlimited IU 9412-1)
The Brain のシングル "Kick The Donkey/Nightmares In Red" が収録されたことで一部で話題になったブートレッグです。
Giles, Giles & Fripp の "Thursday Morning" のシングル版(モノラル)も収録されています。
いずれも実際のシングル盤からの収録のようですが、GGF はまるでカセットテープを何度もダビングしたような音質になっています。
CD のブックレットにはこの The Brain のシングルが「ロバート・フリップが演奏した最初のレコード」と印刷されていますが、The Brain は Fripp が Giles 兄弟に出会う前に解散しています。
"Kick The Donkey" 以外は現在公式 CD にてもっとまともな音質のものが入手可能です。
なお "Kick The Donkey" の作者の Giles Giles とは兄のマイケルのことです。
A Weird Person's Guide To King Crimson Vol.2/King Crimson
■リリース:1994年
■媒体:CD (Invasion Unlimited IU 9426-1)
上記の続編ブートレッグです。
Giles, Giles & Fripp のアウトテイクが3曲("Newly Weds - Mono Single Version"、"She Is Loaded"、"Under The Sky")収録されていますが、92年に再発された CD から違法にコピーされたものです。("Under The Sky" のみ何故か音質が落とされています)
他に Greg Lake が参加した The Shame のシングル "Don't Go Away Little Girl" が収録されています。
ブックレットにはこの曲が Janis Ian の曲であることと The Shame のローディーのチーフが若きフリップだったとの記載があります。
The Rubble Collection Volumes 1 - 10/Various Artists
■リリース:2007年11月
■媒体:CD (Fallout FALLBOX001CD)
ウルトラマニアックな CD 10枚組ボックスセットで、これの3番目に The Brain の "Nightmares In Red" が収録されています。
Nightmares In Wonderland/Various Artists
■リリース:2008年9月
■媒体:LP (Past & Present PPAPRLP003)
上記の3枚目の LP 版で、同様に The Brain の Nightmares In Red が収録されています。
ジャケットが怖いですね。(笑)
Insane Times: 25 British Psychedelic Artyfacts From The EMI Vaults/Various Artists
■リリース:2007年8月
■媒体:CD (Zonophone ZONO20072)

上の Rubble Collection シリーズばかり注目されていますが、この EMI 編集の CD にも The Brain の "Nightmares In Red" が収録されています。
どうせやるなら Trendsetters Ltd. 関連でまとめてもらいたいものです。

Try Me Out; Ballroom Beat, Vol.2 /Various Artists
■リリース:2007年11月6日
■媒体:CD (Psychic Circle PCCD 7016)
1966年2月にリリースされた LOG のシングルの B 面に収録されていた "How Do They Know" が収録されており、上の時系列の歴史でも書きましたが、これに Fripp と Haskell が参加しているとする説が根強くあります。
しかし同名の別バンドではないのか?という疑惑が拭い切れません。
シングル A 面の "How Can You Tell" の作者としてクレジットされているのは Kent/Cleave とバンド・メンバーでない人物であり、また Haskell 自身も後年のインタビューで LOG がレコーディングをしなかったと述べています。
一方この TRY ME OUT には Giles 兄弟が参加した Trendsetters Ltd. の2枚目のシングル B 面の "Move On Over" も収録されていますが、こちらは間違いないでしょう。
Insights /Yasmine and Peter Giles
■リリース:2021年12月
■媒体:CD (Aluna Records AR 00002)

実はこのアルバムは2009年11月の時点で作成に取り掛かられていたのですが、2021年の暮れになってようやく完成にこぎつけたようです。
CDの生産はなぜかポーランドです。
私がこのアルバムのリリースを知ったのは2022年1月17日のことで、その時点で有名ブログを運営しているchop100さんは既にアルバムを入手していたようです。(検索で判明)
私の元にCDが届いたのは2月16日で、多忙だったため2月20日になってようやく内容を聴くことができました。
内容はボサノバ風ジャズといった感じで、ピーター夫婦のアルバムと言うよりは妻ヤスミンのソロアルバムという印象を受けました。
ドラムスが打ち込みのようで、なぜマイケルが叩かないのか?と少し残念に思います。アルバムと詩集はピーターのサイトで入手可能です。

 

 

 

 

 

 

レビュー
The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp (CD:P25L 25052)
The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp (CD:820 965-2)
The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp (CD:UICY-9062)
The Brondesbury Tapes

 

 

 

その他
アルバム内容の比較
写真集
 
 
 

 

 

 

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