KING RECORD  K16P-9081
ZAL. 8330-8331 (SDLBT 3894-3895) d

 

クレジット
Producer Wayne Bickerton
Arrangements on "Thursday Morning" Ivor Raymonde
M.D.(録音もしくはアレンジに於いて医学博士に相当することを行った?)on "The Sun Is Shining" and "The Elephant Song" Ivor Raymonde
Recording Engineer("One In A Million" 以外) Bill Price
Recording Engineer on "One In A Million" Martin Smith
Cover Photograph Gered Mankowitz

Giles, Giles & Fripp は成功の頂点 - そう、達成の頂点 - を掴むため、また大衆の熱狂の光を浴び、無数の人々が恍惚状態になるほどぞくぞくさせるためにバランスを保ち続ける。もしくは屈辱、愛されないこと、無視、哀れさの測り知れない深みにおもりを降ろすために。Giles, Giles & Fripp はバランスを保ち続ける。

 

Side 1
Side 2
1. North Meadow
1. How Do They Know
2. Newly-Weds
2. Elephant Song
3. One In A Million
3. The Sun Is Shining
4. Call Tomorrow
4. Suite No.1
5. Digging My Lawn
5. Erudite Eyes
6. Little Children
 
7. Crukster
 
8. Thursday Morning
 

 

 

1968年9月に発売されたGiles, Giles & Fripp のオリジナル・アルバムです。
私が所有しているのは1976年にキング・レコードから再発されたもので、「ブリティッシュロック名盤 1600 - プログレッシヴ・ロック編」として¥1,600で発売されたシリーズのうちの1枚です。

佐藤斗司夫氏がライナー・ノーツを書いているのですが、それによると1968年暮れに日本でも発売されていた(KING SL-287)ようです。(正確には、日本で最初に発売されたのは1972年のようです)なおライナー・ノーツには一つ誤った記述があり、Ian McDonald はこのアルバムの録音には参加していません。
また、歌詞と対訳が記載されているのですがかなり誤りが多いです。(まあこれは洋楽の常ですが...)
特に対訳はかなり意訳されていて、しかも元の英詩が間違っているものですから意味不明な箇所が何ケ所かあります。(対訳は岩谷 宏氏によるもの)

アルバムのタイトルを直訳すると「ジャイルズ・ジャイルズ&フリップの陽気な錯乱」となり、そのタイトルを意識してかアルバムジャケットには3人が笑って写った写真が用いられています。
左端の Peter Giles は
ぼさぼさの髪に帽子をかぶりスーツにネクタイといういでたちで歯を見せて笑っています。視点がやや左側を見ているようで、顔色が悪いです。
中央の Michel Giles は大きな青い襟のついた白の派手なジャケットに鮮やかな青の蝶ネクタイをして、まるで田舎のホテルの支配人か、テレビの娯楽番組の司会者のような格好です。彼も歯を見せてやや下品に笑い、眼は遠くを見つめています。
右端の Robert Fripp は黒のタキシードに蝶ネクタイという服装で、頭を右に傾け胸をはってにっこり微笑んでいますが歯は見せていません。左手を胸に当てており、彼お得意のポーズです。視線はまっすぐカメラを見ています。よく見ると顎ひげを生やしており、額のあたりはかなり危ないのがわかります。彼だけが眼鏡をかけており、左胸の前に紫色の花を咲かせた植物が
飾られています。

総体的な印象としては、
・ A面は「ロドニー・トウディーの物語」と題された主題、B面は「ジョージだけ」という主題で曲と曲の間にナレーションが入れられている。「ロドニー・トウディーの物語」は1967年10月に Fripp によって作られ、Fripp 自身によってナレーションされている。「ジョージだけ」は1967年3月に Michael Giles によって作られた(と言う程のものでもないが...)短い馬鹿げた文章でさまざまな人がしゃべっている。曲自体とはあまり関係のないナレーションのようである。
・ 68年の録音にしては音がよい
・ Peter Giles はいい曲を作っているが、ボーカルははっきり言ってヘタ
・ 大半の曲は左チャンネルが Michael のドラムス、中央に Peter のベース、右チャンネルに Fripp のギターという定位バランスとなっており、時代を感じさせる。ボーカルは曲によって定位が変わる
・ Fripp のギターは全てエレクトリックだが、ロック風なのはほんの一部で、大半はクリーン・トーンでクラシック風かジャズ風の演奏をしており、その非凡な演奏を披露している
・曲自体はジャズあり、クラシックあり、ポップスありと何でもありの感じで全体に「陽気な錯乱」の様相を呈している

といった感じです。
では各曲の解説に移りましょう。

A面
"North Meadow" (2'29") 

なかなかメロディアスでオープニングにはよい曲です。さわやかな感じがします。
Michael Giles のボーカルもよいです。 この人は本当にいい声をしています。
途中 Fripp のジャズ風ギターソロがあり、クリーン・トーンでオクターブ奏法なども披露しています。最後はFripp のギターソロでフェードアウトしていくのですが、よく聴くとMichael Giles のドラムスもけっこう盛り上がった演奏をしています。

"Newly-Weds" (2'06") 
歌詞と言い、曲調と言い、ちょっとふざけた感じの曲です。
Fripp のリバーブの強くかかったギター伴奏が印象に残ります。
Peter と Michael が交互にリードボーカルをとっています。
最後はドラムスだけになり、一通りリズムパターンを叩いた後シンバルで静かに終わり、 ちょっと変わったエンディングです。

"One In A Million" (2'24") 
これまたふざけた感じの曲で、NHK の教育TV の子供向け番組で流れそうな曲です。
左チャンネルに本物のストリング・セクションが入っていてややクラシック風のアレンジが施されています。
Fripp のギターはコードプレイに終始していますが、ちょっとひねったコードを弾いていて飽きさせません。
この曲はファースト・シングルとして発売されました。珍しくドラムスが中央に定位しています。

"Call Tomorrow" (2'31") 
ボーカルに一部ビブラートのようなエフェクトがかけられています。
この曲はPeter のボーカル以外にはMichael も Fripp も参加していません。
ひょっとしたらピアノかオルガン(かその両方)をFripp が弾いているかもしれません。
ドラムスもベースもない教会音楽風の暗く、重いメロディーが印象に残ります。
ちょっと変わった曲です。

"Digging My Lawn" (1'50")
Fripp のトーンを絞ったジャズ風コードワークが楽しめます。
なかなかいい曲です。 ジャズ風のアレンジはPeter の趣味と思われます。

"Little Children" (2'46") 
Fripp 作曲のメロディアスなナンバー。さすがに今までのようなふざけた感じは消え失せています。
ギターも2本録音され、メロトロンまで登場しています。
この曲では The Breakaways のコーラスが聴けます。

"Crukster" (1'34")
クラクスターとはどういう意味でしょう?(辞書にも載っていない...)
ここでは Fripp のテクニカルなギターが聴けます。
曲としては Fripp が現代音楽を速弾きし、その上に Michael Giles のしゃべりが入る、といった感じです。

"Thursday Morning" (2'49")
2nd シングルとして発売されたメロディアスなバラード。
ビオラのソロがあったりしてちょっとクラシックな雰囲気が漂います。

B面
"How Do They Know" (2'14")
エンディングの Fripp のギターがかっこいい!
サビの部分のコーラスはひょっとしたら Michael のダビングかもしれません。
この曲は純粋に G. G. F. の3人だけで演奏しています。

"Elephant Song" (3'15")
左チャンネルにハーモニカのような音が入っています。
この曲では珍しくドラムスが中央に定位していると思ったら、ボーカル(と言ってもメロディーはなく喋っているだけですが)が右チャンネルに移動していて妙なイコライジングとリバーブを施されています。ギターも珍しく中央ですが、ほとんど聴こえなく全く目立ちません。 単にコード弾きしているだけのようで、他の曲のような Fripp らしいテクニックは皆無です。

"The Sun Is Shining" (3'05")
ほぼフル・メンバーによる演奏。珍しくストリングス・セクションが右チャンネルに定位しています。
全く正攻法のラヴ・バラードで、まるでオールディーズ・ナンバーのようです。
Michael Giles の趣味が垣間見える一品です。

"Suite No.1" (5'32")
曲名からわかるように、これはロックではなく完全なクラシック音楽です。
Fripp のバックグラウンドがもろに出た曲で、彼の超絶技巧プレイを楽しめます。
「組曲」と言うだけあって、大きく3つのパートに分かれています。
第1部と第3部は全くのクラシック音楽で、Fripp の速く正確なオルタネイト・ピッキングが冴え渡っています。
第2部は、"Islands" の "Prelude" に酷似した、ムード音楽のような曲。
本物のストリングスの代わりにメロトロンが使われています。

"Erudite Eyes" (5'01")
「ジョン・セバスチャンタイプの」出だしで始まる曲。
後半はフリーフォームの即興演奏で、後のクリムゾンを暗示させます。
ギターも3本重ねられていて、さすが自分の曲だけあって Fripp は気合いが入っています。

 

 

戻る

The Cheerful Insanity Of Giles, Giles & Fripp
(CD:P25L 25052)へ

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送